南米大陸ではブラジルに次いで大きな面積を誇る国家で、南極にも近いことから豊かな自然が見られるというのが特徴。ブラジルとの国境にあるイグアスの滝でも有名ですが、アルゼンチンには世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、アルゼンチンの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
ロス・グラシアレス国立公園
画像素材:shutterstockパタゴニアは、アンデス山脈南部に位置する広大なエリアで、西側はチリ、東側はアルゼンチンで構成されています。ロス・グラシアレス国立公園は、アルゼンチンのサンタ・クルス州南西部にあり、チリの国境の近くにある公園。
3つの巨大な氷河が有名で、透明な氷によって青白く光り、独特の景観を持ちます。「ペリト・モレノ氷河」は夏になると展望台から先端部が崩落する姿を見られ、観光客も多く訪れる氷河でもあります。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「ロス・グラシアレス国立公園」とは?ペリト・モレノ氷河は動く?世界遺産マニ... アンデス山脈の南端にあるパタゴニア。チリ国境近くには、険しい山々と多くの氷河湖で構成される「ロス・グラシアレス国立公園」があります。公園の氷床は、南極、グリーンランドに次ぐ世界で3番目に広い氷河地帯に属するもの。3つの巨大な氷河が有名で透明な氷によって青白く光り、独特の景観を持ちます。 ここでは、ロス・グラシアレス国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロス・グラシアレス国立公園について詳しくなること間違なし! グアラニーのイエズス会伝道所群(ブラジルと共同)


画像素材:shutterstockブラジルとアルゼンチンの国境沿いの密林には、17〜18世紀にかけてヨーロッパから先住民のグアラニー族へキリスト教の伝道にやってきたイエズス会による伝道所(レドゥクシオン)があります。
もともとはブラジル側の伝道所だけの登録でしたが、1984年にアルゼンチン側のサン・イグナシオ・ミニ、サンタ・アナ、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレート、サンタ・マリア・マジョールの4つの伝道所跡も追加で登録。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい ブラジル・アルゼンチンの世界遺産「グアラニーのイエズス会伝道所群」とは?世界遺産マニアが解説 ブラジルとアルゼンチンの国境沿いの密林には、17〜18世紀にかけてヨーロッパから先住民のグアラニー族へキリスト教の伝道にやってきたイエズス会による伝道所(レドゥクシオン)があります。1983年にはブラジル側のサン・ミゲル・ダス・ミソンイス遺跡、1984年にはアルゼンチン側のサン・イグナシオ・ミニ、サンタ・アナ、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレート、サンタ・マリア・マジョールの4つの伝道所跡が登録。 ここではグアラニーのイエズス会伝道所群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グアラニーのイエズス会伝道所群について詳しくなること間違なし! イグアス国立公園(アルゼンチン側)


画像素材:shutterstockアルゼンチンとブラジルの国境に位置するイグアス川。ここには全体の幅が2700m以上、最大の高さは80mで世界最大の水量を誇る滝、イグアスの滝があることで有名です。
滝はほとんどがアルゼンチン領となっており、上流がアルゼンチン側で下流がブラジル側。それぞれ「イグアス国立公園」としていて、登録面積はブラジルのほうが広大です。最奥部にある「ガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)」と呼ばれる滝は、高さ80mで毎秒7000トンもの量が流れ落ちるというイグアスの滝の中で最も有名な場所。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチン・ブラジルの世界遺産「イグアス国立公園(イグアスの滝)」とは?場所を含めて世界遺産マ... アルゼンチンとブラジルの国境に位置するイグアスの滝は、イグアス川の対岸にそれぞれ「イグアス国立公園」が設立され、両方とも「イグアス国立公園」として登録されているのです。よって、登録面積はブラジルのほうが広いのですが、滝の8割はアルゼンチン側にあるという非常に珍しい世界遺産に。 ここでは、イグアス国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イグアスの滝について詳しくなること間違なし! ピントゥーラス川のクエバ・デ・ラス・マノス


画像素材:shutterstockアルゼンチン最南部のサンタ・クルス州。ピントゥーラス川沿いの渓谷には洞窟があり、ここでは紀元前1万1000年前から紀元700年まで岩絵が描かれました。
その中でも最も個性的なのがクエバ・デ・ラス・マノス(手の洞窟)。洞窟の深さは24mで高さは10mほど。ここはパタゴニアの先史狩猟採集社会のルーツだと考えられている場所。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「ピントゥーラス川のクエバ・デ・ラス・マノス」とは?世界遺産マニアが解説 アルゼンチン南部のピントゥーラス川沿いには、クエバ・デ・ラス・マノス(手の洞窟)と名付けられ、顔料を利用して手形が多く残るという不思議な洞窟があります。ここはパタゴニアの先史狩猟採集社会のルーツだと考えられている場所。 ピントゥーラス川のクエバ・デ・ラス・マノスがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クエバ・デ・ラス・マノスについて詳しくなること間違なし! バルデス半島


画像素材:shutterstockバルデス半島とは、アルゼンチン南部のチュブ州の東側にある、大陸から突き出たように位置する半島のこと。まるで島のような形をしていて大陸とは橋のような狭い土地で結ばれ、面積は合計で約3600平方km。
ここは海洋哺乳類や鳥類の世界的に重要な生息地で、亜南極圏に生息しているミナミゾウアザラシといった珍しい動物も見られます。近海では、貴重なミナミセミクジラなど、30種類以上の哺乳類が生息していることでも有名。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「バルデス半島」とは?世界遺産マニアが解説 バルデス半島はアルゼンチン南部に位置し、南大西洋に突き出すような形をした半島。ここは海洋哺乳類や鳥類の世界的に重要な生息地で、亜南極圏に生息しているミナミゾウアザラシといった珍しい動物も見られます。近海では、貴重なミナミセミクジラなど、30種類以上の哺乳類が生息していることでも有名。 ここではバルデス半島がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バルデス半島について詳しくなること間違なし! コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群


画像素材:shutterstockコルドバ州の州都コルドバはブエノスアイレスに次ぐアルゼンチン第2の都市。コルドバの中心地には、イエズス会の神学校が築かれ、これは後に南米でも最初期の大学となるコルドバ大学の前身でもあり、ここにはイエズス会の教会、修道院、学生寮などが今でも残されています。
周囲に位置する5つのエスタンシア(農業共同体)はイエズス会の修道士たちが先住民たちとともに暮らした跡でもあります。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群」とは?世界遺産マニアが解説 アルゼンチン中北部のコルドバは、16世紀にスペイン人が建設し、17世紀から18世紀にかけて150年以上に渡ってイエズス会の布教の拠点となった場所。ここは南米でも最初期の大学であるイエズス会神学校を中心に教会と修道院、学生寮などが残り、周囲に位置する5つのエスタンシア(農業共同体)はイエズス会の修道士たちが先住民たちとともに暮らした跡でもあります。 ここではコルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イエズス会伝道所とエスタンシア群について詳しくなること間違なし! イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群


画像素材:shutterstockアルゼンチン北東部に位置するイスキグアラスト州立公園とタランパヤ国立公園。ここは高さ200mにも達する赤い砂岩の断崖や奇岩などが続く景観で有名です。
そして、「イスキグアラスト累層」と呼ばれる三畳紀後期の地層が存在し、世界でも最古級の爬虫類が発見されていて、そして、原始的な恐竜であるエオラプトルの化石も発掘。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群」とは?世界遺産マニアが解説 アルゼンチン北東部に位置するイスキグアラスト州立公園とタランパヤ国立公園は、砂漠地帯が広がっていて、中生代の三畳紀(約2億5190万年前〜2億130万年前)に生息していた恐竜や哺乳類、魚類、植物などのさまざまな祖先のほぼ完璧な化石が多く発見されていて、これらは古代生物の進化を示すもの。 ここではイスキグアラスト/タランパヤ自然公園群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群について詳しくなること間違なし! ケブラダ・デ・ウマウアカ


画像素材:shutterstockアルゼンチン北部に位置するフフイ州は、ボリビアとチリとの国境の近く、アンデス山脈に中でも高原地帯からグランデ川に浸食されたケブラダ・デ・ウマウアカ(ウマウアカ渓谷)が155kmも続くというエリア。
ここには先史時代の集落跡やインカ帝国時代の要塞などの遺跡が残り、この地が1万年に渡って交易路として繁栄したということを示す文化的景観が見られます。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「ケブラダ・デ・ウマウアカ」とは?世界遺産マニアが解説 アルゼンチン北部、アンデス山脈から流れるグランデ川沿いの渓谷は、先史時代の集落跡やインカ帝国時代の要塞などの遺跡が残り、この地が1万年に渡って交易路として繁栄したということを示す文化的景観が見られます。 ここではケブラダ・デ・ウマウアカがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ケブラダ・デ・ウマウアカについて詳しくなること間違なし! カパック・ニャン アンデスの道(インカ道)(エクアドル・コロンビア・チリ・ボリビアと共同)


画像素材:shutterstockカパック・ニャンは、インカの人々によって数百年にも渡って築かれ、北からコロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンにまたがる3万kmの街道。ここは約6000m級の山々、熱帯雨林、渓谷、砂漠などを通る、世界でも最大規模の道路網でもあります。
カパック・ニャンはインカ帝国の首都であったペルーの都市・クスコの広場から、東西南北に延びる4つの道が主要道路となっています。登録されているのは、コリャ・スウユ(南方)で、現在のボリビアを通り、チリやアルゼンチン中部までを結んでいたルート。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい 「カパック・ニャン アンデスの道(インカ道)」とは?世界遺産マニアが解説 カパック・ニャン(インカ道)は、6ヶ国にまたがった道の遺産。これは標高6000m級の山々を中心に3万kmにもなる街道で、これらはインカ帝国の交通を支えていました。273もの構成遺産からなるシリアル・ノミネーション・サイトで、地域住民によって保護されてきたというのも特徴です。 ここではカパック・ニャン アンデスの道がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、インカ道について詳しくなること間違なし! ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献(他6ヶ国と共同)


画像素材:Danielsantiago9128(Wikimedia Commons)ル・コルビュジエ(1887〜1965年)は、近代建築の三大巨匠の一人として有名。数多くある作品の中でも7ヶ国17の建築物が登録されていて、これはそれまでのヨーロッパの建築とは異なり、彼自身が半世紀以上かけて磨いていった新しい概念が導入されたもの。
アルゼンチンで登録されているのは、首都ブエノスアイレスの南東約50kmの位置にある都市ラプラタにある邸宅「クルチェット邸」。ここはアルゼンチンの気候に合わせて「日除け格子」を工夫し、建物をU字にするという地元の建築様式を取り入れていました。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい 世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」とは?世界遺産マニアが解説 パリを中心に活躍した建築家ル・コルビュジエは、20世紀の近代建築運動において多大な貢献をした人物。数多くある作品の中でも7ヶ国17の建築物が登録されていて、これはそれまでのヨーロッパの建築とは異なり、彼自身が半世紀以上かけて磨いていった新しい概念が導入されたもの。これらは社会の要望に応える新しい建築技術を発明し、それが反映されたという傑作であり、彼の新たな建築様式は世界に広がっていきました。 ここではル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ル・コルビュジエの建築作品について詳しくなること間違なし! ロス・アレルセス国立公園


画像素材:shutterstockパタゴニア地方北部・アルゼンチン側のチュブ州に位置し、アンデス山脈内に広がる広大な公園。ここはチリの国境に面し、モレーンやカール(圏谷)、透き通った氷河湖、U字側の谷など、氷河作用によって形成された地形が点在しています。
ここには「アレルセ」と呼ばれる、絶滅危惧種のパタゴニアヒバが見られ、中には樹齢が2600年以上のものがあるほどに古くから存在するという点で貴重。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「ロス・アレルセス国立公園」とは?世界遺産マニアが解説 アルゼンチン南部にあり、パタゴニア北部のアンデス山脈に広がる公園。この地は氷河によって形成され、モレーンやカール(圏谷)、氷河湖などが見られ、一帯は温帯林で覆われています。ここには「アレルセ」と呼ばれる、絶滅危惧種のパタゴニアヒバが見られ、中には樹齢が2600年以上のものがあるほどに古くから存在するという点で貴重。 ここではロス・アレルセス国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロス・アレルセス国立公園について詳しくなること間違なし! ESMA「記憶の場」博物館-かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センター


画像素材:shutterstockアルゼンチンは、1976年から1983年にかけて当時の軍事政権によって行われた「汚い戦争」によって、多くの政治家や学生、ジャーナリストが逮捕・監禁・拷問され、3万もの人々が死亡もしくは行方不明になりました。当時は各地に「秘密拘留・拷問・絶滅センター(CCDTyE)」が置かれ、1976年までに610ものセンターが築かれたとされます。
センターは各地にありましたが、首都ブエノスアイレスにある海軍機械学校(ESMA)にあったセンターは2004年から博物館となり、国家テロによる悲惨な出来事を現代に伝える場として公開されています。
詳細はこちら↓
あわせて読みたい アルゼンチンの世界遺産「ESMA『記憶の場』博物館-かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センター」とは?世界... アルゼンチンは1976〜1983年にかけて「汚い戦争」という国家テロが行われ、逮捕された国民は秘密拘留・拷問・絶滅センターにて収容・拷問された後、殺害されました。センターは各地にありましたが、首都ブエノスアイレスにある海軍機械学校(ESMA)にあったセンターは2004年から博物館となり、国家テロによる悲惨な出来事を現代に伝える場として公開されています。 ここではESMA「記憶の場」博物館-かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センターがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ESMA「記憶の場」博物館について詳しくなること間違なし! 世界遺産マニアの結論と感想
アルゼンチンだけで登録されているのは9件ではありますが、共同で登録されている遺産を含めると、文化遺産が7件、自然遺産が5件と合計で12件。イグアスの滝やロス・グラシアスの氷河のイメージだけに自然遺産が多いと思いきや、先住民の遺跡や修道院の跡など、文化遺産も多いというのもアルゼンチンの魅力でもあります!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。