登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3) |
登録年 | 2023年 |
アメリカの北東部には、ホープウェル文化と呼ばれる先コロンブス期の遺跡が点在。ここには幾何学的な形をした土塁が見られます。土塁の建設理由は明らかではないですが、その面積は世界でも最大級のものも含まれているのが特徴。このことから住民は高度な建築技術を持ち、発掘された遺物からは住民が他の地域との交流をしていたということが分かります。
ここではホープウェルの儀礼的土構造物群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ホープウェルの儀礼的土構造物群について詳しくなること間違いなし!
ホープウェルの儀礼的土構造物群とは?
アメリカ北東部のオハイオ州にある8つ遺跡には、ウッドランド期(紀元前1000年〜紀元1000年頃)の中でもホープウェル文化(紀元1世紀〜6世紀頃)に属する土塁が多く残っています。ホープウェルとは、1840年代に現在のホープウェル文化国立歴史公園にて、遺物が多く発掘されたために、この文明を地主の名前であったホープウェルと名付けられました。
彼らが土塁を建設した目的は詳しいことはわかっていませんが、それぞれ幾何学的な形で作られ、中には蛇をイメージしたものも存在。これらは太陽や月など、天体の軌道などを意識したともされています。そして、土塁には小規模な古墳もあり、工芸品が埋められていて、それらは五大湖やカリブ海、イエローストーン盆地など、遠方からの材料も使用されていたというのが特徴。
州の中央部にある「ホープウェル文化国立歴史公園」には「マウンドシティー」など、土壁に囲まれた土構造物が4つあり、公園には儀式用の塚も含めて土塁が30以上も点在。州の南東部にある「フォート・エンシェント」には、長さ6000mにも及ぶ壁で囲まれた巨大な土構造物があることで有名で、丘の上には塚や溝なども点在することから、ホープウェル文化の土塁の特徴をよく備えたもの。
ホープウェルの儀礼的土構造物群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
登録基準(iii)
ホープウェルの儀礼的土構造物群はその大きさと複雑な構造が特徴で、幾何学的図形や広大な空間を囲むように作れた丘など、ホープウェル文化と呼ばれる先住民の伝統を表したものであります。これらは太陽と月の周期とも関連性が見られ、儀式の中心地として機能し、さらにこの地から遠くに離れた場所から入手した原材料から作られた儀式用の品物も存在するという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ホープウェルの土塁群は、アメリカ東部に築かれた土塁とはまた異なり、その規模は広大で、高度な建築技術が見られます。これらは儀式の中心地として機能し、儀式用の品物は遠方からの素材を使用されていると点で評価。
ちなみに、ホープウェル文化の人々は、階層社会ではあったものの、王のような強力な指導者はいなかったとされます。むしろ、指導者は徐々に権力を持っていき、ようやく1000年頃に中央集権化された社会が生まれ、それが世界でも最大級の墳丘を作ることができた「カホキア」。このカホキアの墳丘も世界遺産に登録されていますよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。