カナダの世界遺産「バージェス頁岩」とは?世界遺産マニアが解説

登録区分自然遺産
登録基準(7),(8)
登録年1984年

バージェス頁岩(けつがん)は「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」の構成資産の一つ。1909年にバージェス山では、カンブリア紀(約5億4200万年前〜約4億8830万年前)の古代生物の化石が多く発見されたことから、生物史において大変貴重な存在。ところで、バージェス頁岩はなぜ世界遺産なのでしょうか?

ここではバージェス頁岩がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バージェス頁岩について詳しくなること間違いなし!

目次

バージェス頁岩とは?

バージェス山
画像素材:Nachosan(Wikimedeia Commmons)

バージェス頁岩は、ブリティッシュコロンビア州のヨーホー国立公園にある標高2599mのバージェス山で発見された地層のこと。これは1909年に古生物学者チャールズ・ウォルコット(1850〜1927年)によって発見されたもので、ここからは約5億3000万年前のカンブリア中期の化石が多く見つかりました。

頁岩とは、泥が固まった堆積岩で、粒子が細かく酸素が通しやすいという特性があったため、生物が綺麗に化石化しています。ここで発見されたもので有名なのは遊泳性の捕食動物であった「アノマロカリス」。化石からすると体長は60mほどであったとされ、触手で獲物を捕らえたという捕食動物であり、当時の地球では最強の生命体と考えられています。かつては「プロブレマティカ(未詳化石)」として従来の動物にカテゴリー分けできないということもありましたが、現在はラディオドンタ類に属するもの。

アノマロカリス
画像素材:Daderot(Wikimedeia Commmons)

他に5つの目を持つオパビニアといった生物の化石も発見され、カンブリア紀に発生した生物の爆発的な多様化が存在した証拠となり、現代でも研究が続けられています。

1980年にはこの地層は「バージェス頁岩」として世界遺産に登録。そして、バージェス頁岩は1984年に登録された「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」の中に吸収されてしまったために現在は遺産名に入っていません。

バージェス頁岩はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

バージェス頁岩
画像素材:shutterstock

バージェス頁岩が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
カナディアン・ロッキーにある7つの公園は、絶壁や氷河、湖、滝、洞窟、温泉などの絶景が広がり、多くの訪問者を魅了しているといううこと。

登録基準(viii)
カナディアン・ロッキーには氷河によって削られた地層があり、ここで発見されたバージェス頁岩は、約5億3000万年前のカンブリア大爆発の証拠であり、生物の進化の歴史を辿る上で重要であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

バージェス頁岩は、生物の多様化したという「カンブリア大爆発」の名残であり、生物の進化を研究する上では非常に重要なものであるという点で評価されています。

ちなみに、プロブレマティカは、オーパーツのようなものをイメージするかもしれませんが、割と研究を続けることでその分類が明らかになっていくので、科学の力の偉大さに驚くばかりですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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