登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(3),(4),(6) |
登録年 | 1998年 |
薬師寺は「古都奈良の文化財」の構成遺産の一つ。奈良時代に遡る三重塔があることで知られますが、どんな理由で薬師寺は世界遺産に登録されているのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!
ここでは薬師寺がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、薬師寺について詳しくなること間違なし!
薬師寺とは?

680年に天武天皇の発願により藤原京(現在の奈良県橿原市と明日香村にあった都城)にて創建された寺院。718年に平城京内に移転され、入口に中門、中央には仏像が置かれた金堂、その手間の東西に置かれた塔、背後に講堂を配するという「薬師寺伽藍配置」で知られ、三重塔は飛鳥時代に花開いた白鳳文化を代表するもの。
しかし、943年の平安時代の火災により多くの建造物は火災。その後、1528年の戦国時代には東塔と東院堂以外は戦乱により焼失してしまいます。その後も1600年に金堂、1852年には大講堂が再建されるもの、現在のような白鳳伽藍が復活するのは第二次世界大戦後のこと。
東塔

奈良時代から残る唯一の建造物で、730年に完成したという記録が残っています。34.1mという高さを誇り、塔の内部には銘文が刻まれ、創建と本尊設立の趣旨が漢文で記されていて、これらは貴重な資料。
屋根の構造を見ると五重塔に見えなくもないですが、下から1・3・5段目の屋根は裳階(もこし、本来の屋根の下にもう一つ屋根をかける建築様式)になっているため、構造上は三重塔になっています。
薬師寺はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

薬師寺が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
古都奈良の文化財は、中国や朝鮮半島との文化的な繋がりが見られ、深い影響を与えられつつ、日本の建築と芸術が当時としては高い水準に達していたということを示すという点。
登録基準(iii)
現在残る建築物や遺構からは平城京が首都であった時代に日本独自の文化が開花したということを証明しているということ。
登録基準(iv)
平城京跡と奈良に残る建造物は、アジアの最初期における国家の首都の都市計画と建造物の優れた例であるという点。
登録基準(vi)
奈良の仏教寺院と神社は、山や森を神格化するという日本独自の神道思想などが見られ、これは今でも日本人精神に残っていて、宗教的な文化を継承し続けているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
薬師寺は奈良時代に確立された「薬師寺伽藍配置」が見られることから、日本の仏教史を示し、大陸との文化的な繋がりが見られ、三重塔は当時の高い技術力の証拠を残すという点で評価されています。
ちなみに「薬師寺」とは、薬師如来を本尊とする寺院のことで「〜薬師」という寺院や地名が多く残りますが、仏に病気平癒のような現世利益を祈願する日本人と非常にマッチすることから、7世紀ころから各地で薬師如来像が多く建造されました。今でもお正月に多くの人が「〜薬師」を訪れる人も多いので、非常に人気がありますね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。