島根県にある出雲大社は、全国でも数少ない大社で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?
ここでは出雲大社が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、出雲大社について詳しくなること間違いなし!
出雲大社とは?
島根県出雲市にある出雲大社は、日本神話などの伝説が語り継がれる地。現在の主祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が、この地で国譲りの条件として立派な宮を造ってもらったことから、それが出雲大社の由来となっています。さまざまな説があるものの、過去の本殿は100mほどの高さを誇る建造物であったとされています。
現在の本殿は、1744年に再建されたもので高さは24mもあり、神社としては破格の規模を誇るもの。大国主大神の御神座は本殿内北東に位置し、北西には御客座五神が祀られています。拝殿の西側には「神楽殿(かぐらでん)」があり、ここは明治になると本殿とは別に大国主大神を祀る場所を築かれ、正面の下にある大注連縄の大きさも有名で、なんと長さは約13m、重さは5.2トンもあります。
出雲大社はなぜ世界遺産として登録されないの?
出雲大社は縁結びの神様として、観光客には人気のあるスポットではありますが、世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?
実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。
その理由ですが、出雲大社では「遷宮(せんぐう)」が60〜70年単位で行われているという点。これは「蘇りの思想」であり、神の力を新たにするためには本殿も新しく作り変えるという伝統があるため。最近では2013年に行われました。
そうなると、世界遺産と登録基準にある「真正性」や「完全性」に当てはまらないため「顕著な普遍的価値(OUV)」があるとは見なされないというのが専門家たちの観点。とはいえ、登録基準(vi)の「人類史上に残る出来事や現存する伝統、思想、信仰、芸術」として進めることも可能性もありますが、これは原爆ドームなどの負の遺産が多く、現在の基準ではなかなか難しい傾向にあります。
世界遺産マニアの結論と感想
残念ながら出雲大社は世界遺産ではありませんが…しかし、それは現段階の話。出雲大社の地下には、古代や中世の遺構も発見されていることから、その歴史的価値が高いということを証明できれば、今後は世界遺産として登録されるかもしれませんね。
とはいえ、島根県には、既に「石見銀山」が世界遺産に登録されているので、出雲大社での参拝のついでに訪れることもできますよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。