登録区分 | 文化遺産 |
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登録基準 | (1),(2),(3),(4) |
登録年 | 1992年 |
バプーオンは「アンコール遺跡」の構成資産の一つ。11世紀に建造されたヒンドゥー教寺院であり、ここで確立された3層の構造を持つ寺院は「バプーオン様式」の基本となりました。ところで、バプーオンはなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではバプーオンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バプーオンについて詳しくなること間違なし!
バプーオンとは?
アンコール遺跡の中央部にある城郭都市アンコール・トムの中でもその中心に位置するヒンドゥー教寺院。1060年ころにヒンドゥー教の神であるシヴァに捧げられた国家寺院であり、ここはアンコール・トムが建造されるよりも前に存在していたもの。寺院は東西425m、南北125mにある砂岩の周壁に囲まれていて、中央に古代インドの世界観の中でも中心部にあるとされる須弥山を模した山岳寺院でもありました。高さ24mの寺院は東西120m、南北100mであり、3層の基壇があり、回廊に囲まれていて、最上階には祠堂が配置。
13世紀末の記録によれば、バイヨンよりも高かったと記載されていたものの、15世紀後期には仏教寺院に改築。その際に現在も残る寝釈迦像を建造するために当時存在していた高い塔が破壊され、現在に至っています。
バプーオンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
バプーオンが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
アンコール遺跡は、アンコールワット、バイヨン寺院、パンテアイ・スレイなど、9〜15世紀までのクメール美術の傑作が見られるということ。
登録基準(ii)
アンコールで発展したクメール美術は、東南アジア全域で影響を与え、各地で独自に発展していったという点。
登録基準(iii)
密林に残る遺跡は9〜15世紀に東南アジアの大部分を支配したクメール王朝の存在を示しているということ。
登録基準(iv)
クメール様式の建築は、各地で独特の進化を遂げ、結果的に東南アジアの建築と美術の新しい様式を生み出していったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
バプーオンは、クメール王朝でも初期の建造物であり、「バプーオン様式」と呼ばれる山岳寺院の建築様式が確立され、これが東南アジア各地に影響を与えたという点で評価されています。
ちなみに「バプーオン」には「隠し子」という意味があり、第二回廊の南側の塔門には、隠し子伝説にちなんだレリーフあります。伝説ではカンボジア王とシャム(タイ)王は兄弟であり、シャム王の息子をカンボジアで預けたところ、殺されてしまい、報復のため戦争となった際に、カンボジアの王妃がこの寺院に子供を預けたことから「隠し子」と呼ばれるようになったとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。