ギリシャ神話の英雄・ヘラクレスとは?世界遺産マニアが解説

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ヘラクレスはギリシャ神話に登場する最も有名な英雄の一人。世界遺産でもギリシャ神殿やヨーロッパの地名でもしばしば登場しますね。彼は実在の人物ではありませんが、12の試練を乗り越えた英雄で、その勇ましいエピソードから人気。とはいえ、彼の神話については具体的には知らないですよね。

今回はヘラクレスの神話を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヘラクレスについて理解できること間違いなし!

目次

ヘラクレスはギリシャ神話の英雄

「ヘラクレス」の意味とは?

ヘラクレス像
画像素材:AdobeStock

ヘラクレスはギリシャ神話の主神ゼウスとミュケーナイ(ミケーネ文明の注意新地)王の娘・アルクメネの子として生まれ、ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄として、数々の試練を乗り越えた英雄として知られています。

彼はもともとは、アルケイデースという名前であったのですが、ヘラクレスとは「ヘラ(ギリシャ神最大の女神)の栄光」を意味し、これは彼が果たした重要な役割を象徴しています。彼の名前の由来はデルポイの巫女によって名付けられ、その意味は単に強さや勇気だけでなく、彼の行為を表現するもの。

ヘラクレスの12の試練(十二の功業)

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ヘラクレスの誕生は、ゼウスの浮気でもあるため、正妻であるヘラの激しい嫉妬を引き起こしました。ヘラはゼウスの浮気を許すことができず、その怒りの矛先をヘラクレスに向けることになるのです。幼少期のヘラクレスは、ヘラから多くの迫害を受けることになりました。例えば、生まれて間もない彼の寝床にヘビを送り込むなど、命を狙う試練に満ちた日々を送ります。ヘラクレスはその体力と勇気でこれらの試練を乗り越え、成長していきました。

しかし、彼はヘラによって狂気が送り込まれ、後に我が子と異母兄弟であるイーピクレースの子を殺害してしまいます。罪を償うために、ヘラクレスは「ミュケーナイ王エウリュステウスに仕え、勤めを果たせ」というアポロンの神託を受け、12の試練を受けることになりました。

ヘラクレス像
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エウリュステウスがヘーラクレースに命じて達成したは、以下の12の試練。

1、ネメアーの獅子
頑丈な皮膚を持つネメアのライオンを倒す。

2、レルネーのヒュドラー
切られるたびに2つに増える首を持つ怪物ヒュドラを倒す。

3、ケリュネイアの鹿
女神アルテミスの神聖な鹿を生け捕りにする。

4、エリュマントスの猪
エリュマントス山に住む巨大な猪を捕獲する。

5、アウゲイアースの牛舎
30年間清掃されていないアウゲイアース王の牛舎を1日で掃除する。

6、ステュムパーロスの鳥
アルカディアに住む怪鳥たちを退治する。

7、クレーテーの牡牛
クレタ島にいる巨大な牡牛を捕らえる。

8、ディオメーデースの人喰い馬
人間を食べるディオメデスの馬を捕獲する。

9、アマゾーンの女王の腰帯
アマゾーン族の女王ヒッポリュテの魔法の帯を手に入れる。

10、ゲーリュオーンの牛
3つの頭と胴体を持つ巨人ゲリュオンの牛を連れてくる。

11、ヘスペリデスの黄金の林檎
世界の西の果てにあるヘスペリデスの園から黄金の林檎を取ってくる。

12、地獄の番犬ケルベロス
冥界の入口を守る3つ頭の犬ケルベロスを生きたまま連れてくる。

ヘラクレスの死因は?

彼の死は妻に関連している

ヘラクレス像
画像素材:AdobeStock

12の試練を乗り越え、ヘラクレスはギリシャ神話で最も有名な英雄となりました。彼には多くの妻がいましたが、最も有名なのはデーイアネイラ。彼女はアイトーリア(現在のギリシャ西部)のオイネウス王の娘であり、非常に美しい女性とされています。

特に有名なエピソードは、ケンタウロスのネッソスによる事件です。ネッソスはデーイアネイラを襲おうとしましたが、ヘラクレスが彼を射殺しました。その際、ネッソスは自身の血が強力な愛の媚薬だと嘘をつき、デーイアネイラに渡しました。この血が原因で、後にヘラクレスが苦しむこととなります。

ヘラクレスの最期

アイガイ(ヴェルギナ)の考古遺跡
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やがてヘラクレスは、オイカリアの王女イオレーに恋するようになり、デイアネイラは、ヘラクレスが別の女性に心を移すことを恐れ、媚薬だと思っていた毒を浸した服を夫に届けました。結局、媚薬だと思っていた毒はヘラクレスの体を焼き尽くすことになってしまったのです。

猛烈な痛みに襲われたヘラクレスは、自分の苦しみを終わらせるために自ら火を付けてその身は燃え尽きました。しかし、彼の死は肉体の苦難からの解放と同時に、神々の一員として迎えられる象徴的な瞬間でもありました。ようやくヘラからも許され、彼の息子たちはギリシャ各地で国々建設していったという伝説へと繋がっていきます。その中の一つが、かのアレクサンドロス大王を輩出したマケドニア王国(紀元前808年〜紀元前168年)で、大王はヘラクレスの子孫ということを自称していました。

彼の名前を冠した「ヘラクレスの柱」は世界遺産に登録されている?

ヘラクレスの柱
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ヘラクレスの12の試練は神話であり、架空の動物や地名が多く登場しますが、その中でも神話とリンクした景観が現実世界でも見られるのが「ヘラクレスの柱」。これはジブラルタル海峡を挟むスペイン側とモロッコ側の断崖がそれぞれヘラクレスによって形成されたという伝説があるもの。

神話によれば、ヘラクレスは12の試練の一環として、大洋オーケアノスの西の果てに浮かぶ島エリュテイアへ向かう途中、大きな山があったため、怪力で砕き、大地も吹き飛んだことからアフリカ大陸とヨーロッパ大陸が分かれたとされ、それが現在のヘラクレスの柱になったとされます。

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さらに、スペイン北西部ガリシア州のア・コルーニャ港の入口にある「ヘラクレスの塔」は、ローマ時代から存在する塔で、世界遺産に登録されています。これは12の試練の一つ、ゲーリュオーンの牛がこの地に生息していたという伝説から名付けられたもの。しかし、これは20世紀に名付けられたことから、関連度は非常に低いのです。

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※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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