ジンバブエの世界遺産「国史跡グレート・ジンバブエ遺跡」とは?世界遺産マニアが解説

登録区分文化遺産
登録区分(1),(3),(6)
登録年1986年

グレート・ジンバブエはジンバブエの中央部にある、標高1000mの高原に位置する遺跡です。ここはバンツー語系のショナ族によって11〜15世紀に築かれ、金などの貿易で栄えた都市。

ここでは、国史跡グレート・ジンバブエ遺跡がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グレート・ジンバブエについて詳しくなること間違いなし!

目次

国史跡グレート・ジンバブエ遺跡とは?

国史跡グレート・ジンバブエ遺跡
画像素材:shutterstock

首都ハラレから南へ約300km。このジンバブエ高原に残る石造りの遺跡は、グレート・ジンバブエと呼ばれています。ここはかつてバンツー語系のショナ族によって11〜15世紀に築かれ、ジンバブエとは彼らの言葉で「石の家」という意味。

高原の西部には金が採掘され、これをアラビア商人が集まるタンザニア南東部のキルワ・キシワニという都市国家へ運んでいきました。ここはインド洋との交易ルートの中継地として繁栄。遺跡からは中国の陶磁器やペルシャのガラスの容器などが発見され、ここが交易で発展した都市であったということを物語っています。しかし、15世紀になると徐々に衰退し、現在のジンバブエ西部で栄えたロズウィ族のトルワ国が台頭してくるころ、人々はグレート・ジンバブエを放棄しました。これは人口増加、天災や飢饉など、さまざまな説があります。

遺跡は3つのエリアで構成されていて、丘の上にある「アクロポリス」、その南にある「谷の遺跡」、「大囲壁(グレートエンクロージャー)」に分かれます。

アクロポリス

アクロポリス/国史跡グレート・ジンバブエ遺跡
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丘の上にある遺構。高さ9mの石壁に囲まれていて、東側には石柱が発見され、これらは祭壇として何かしらの儀式が行われていたと考えられます。西側は首長の邸宅などに使用されたと推定されているもの。

谷の遺跡

谷の遺跡/国史跡グレート・ジンバブエ遺跡
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アクロポリスから南へ400〜500mの距離に広がり、ここは王もしくは首長の妻や子どもたちの住処であったと考えられています。多くの建造物はレンガで作られていたもの。ここでは中国製の陶磁器や西アジアのガラス、ペルシャ製の容器などが発掘。そして、現在のジンバブエの国旗となっている「鳥の彫像」のイメージはここで発掘されたものがモチーフになっています。

大囲壁(グレートエンクロージャー)

大囲壁(グレートエンクロージャー)/国史跡グレート・ジンバブエ遺跡
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遺跡の最も南に位置する、高さ11mの壁に囲まれた建造物。谷の遺跡のすぐそばで、14世紀に建造したと考えられています。壁に使用しているレンガは、花崗岩の砂と粘土で作り上げたもの。西側は住居で、東側には高さ9mの塔もあり、儀式などを行った場であったと推測されています。

国史跡グレート・ジンバブエ遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

国史跡グレート・ジンバブエ遺跡
画像素材:shutterstock

グレート・ジンバブエが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
19世紀に発見された時は「シバの女王の宮殿」であったと勘違いされるほどにロマンに溢れ、古代都市そのものが芸術作品であるということ。

登録基準(iii)
グレート・ジンバブエは、11〜15世紀に栄えたショナ族の文明を現在に証明しているという点。

登録基準(vi)
現在のジンバブエの国旗には、この遺跡で発見された「鳥の彫像」が入っていたりと、ジンバブエ国民はこの遺跡を自分たちのシンボルとしているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

グレート・ジンバブエは11〜15世紀に存在した文明を証明するものであり、現在のジンバブエ国民のアイデンティティになっているということで評価されています。

ちなみに、19世紀にここがシバの女王の国であるという結論を付けた理由は、全く根拠がなく、アクロポリスがエルサレムのソロモン神殿に似ているといったトンデモ説でした。それくらい完成度の高い遺跡であったということなのでしょうけど。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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