登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4), (5) |
登録年 | 1995年 |
バルト海に浮かぶゴットランド島の西側にある港町ヴィスビュー。ここは12〜14世紀にかけてドイツ商人が滞在したハンザ同盟都市でした。ここには200以上の倉庫や城壁があり、要塞都市であった名残りが現在でも見られます。
ここではハンザ同盟都市ヴィスビューがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴィスビューについて詳しくなること間違いなし!
ハンザ同盟都市ヴィスビューとは?
ゴットランド島はスウェーデンの東100kmの位置にある、バルト海に浮かぶ島。ヴィスビューは10世紀頃にヴァイキングの集落があった場所で、12世紀になるとこの都市がバルト海の交易を統治するようになりました。そして、ドイツ北部にリューベックが設立されると、ドイツ商人たちはバルト海に進出し、ヴィスビューに滞在。やがてハンザ同盟都市となりました。
13世紀に港に石造りの倉庫が作られると、町には教会や住居、ギルドの組合所などが次々と建設。そして、旧市街を防衛するために、全長約3.4kmで高さ10mもの城壁が作られます。これは現在でも残っていて保存状態も良好。
しかし、14世紀になると、疫病とデンマーク軍の侵攻で衰退し、ハンザ同盟における地位を失ってしまいます。そして、交易ルートから外れると、16世紀にハンザ同盟としてのライバルであるリューベックから派遣されたドイツ騎士団により町は破壊。その後、18世紀になると交易と産業は復活し、旧市街から町は拡大して現在に至ります。
現在は200以上の倉庫が残るものの、かつて街に点在していた17の教会はほとんどが16世紀の宗教改革で破壊。聖母マリア大聖堂だけが現存しています。
『魔女の宅急便』に登場するコリコのモデル?
世界遺産とは関係ないかもしれませんが…ヴィスビューは、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』に登場する「コリコ」の街のモデルとなっています。これはスタジオ・ジブリが公式で認めているもので、主人公のキキがお世話になった「グーチョキパン店」の周囲の風景のモチーフになった場所。
ハンザ同盟都市ヴィスビューはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴィスビューが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
ハンザ同盟都市であったヴィスビューは、中世に建造された北欧の城壁都市の優れた例であり、保存状態の良い城壁など当時の名残が見られるという点。
登録基準(v)
ヴィスビューは旧市街などの景観が維持されていて、中世に築かれた都市構造をそのまま継承して居住し続ける都市の例であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
12〜14世紀にハンザ同盟として繁栄したヴィスビューは、城壁に囲まれた旧市街の名残が今も残るという点で評価されています。そして、その旧市街の構造をそのまま継承して現在まで利用され続けているため、景観も中世の雰囲気が残るというのもポイント。
ちなみに、『魔女の宅急便』に登場する「コリコ」はストックホルムとヴィスビューを参考にしたと公式では言及されていますが、おそらく都市部分はストックホルムがモデルと考えられていて、ヴィスビューはのどかな街のため、どちらかというと「住宅街」をメインに参考にしたと思われます。残念ながら「グーチョキパン店」をモデルにしたパン屋は現在のところ発見されていません。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。