登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4),(5) |
録年 | 1987年 |
モロッコ中部の内陸部にあるアイット=ベン=ハドゥ。ここはクサールと呼ばれる要塞化した村のひとつで、その中でも保存状態の良いもの。家々は高い防御壁に囲まれていて、村の中には複数階建ての独特の建物が見られます。
ここでは、アイット=ベン=ハドゥの集落がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アイット=ベン=ハドゥについて詳しくなること間違いなし!
アイット=ベン=ハドゥの集落とは?
モロッコ中部のワルザザート県の丘陵地帯は、サハラ砂漠の東側のスーダンと北部のマラケシュを結ぶルートの上にある場所で、クサールという要塞化した村がいくつか点在。
その中でも、アイット=ベン=ハドゥは保存状態がよく、イスラム化以前のこの地方の独特の典型的な建築様式が多く残っています。村は防御壁で囲まれていて、家々が多く集まるというもので、丘の上にはアガティールという塔兼貯蔵庫があるというのが特徴的。最も古い建物は17世紀ではありますが、村の起源は7世紀にも遡るといいます。家々は粘土で作られているため、耐久力がなく、2世紀以上残っている建築物はありません。
旧市街は、家々がギュッと詰まっており、閉鎖された空間。狭い通路が続き、まるで迷路のよう。複数階建ての建築物も多く、1階が馬小屋、2階が貯蔵庫、3階が居住空間になっています。壁の中には、モスクと隊商宿があり、墳墓なども世界遺産に登録。アイット=ベン=ハドゥは今でもイスラム化以前の村々の建築様式を残しているという点で評価されています。
アイット=ベン=ハドゥの集落はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アイット=ベン=ハドゥが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
モロッコ南部のクサールの中でも、アイット=ベン=ハドゥは保存状態がよい村であるという点
登録基準(v)
アイット=ベン=ハドゥは、モロッコ中部の文化が今でも残り、伝統的な村々の暮らしが見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
モロッコ中部の要塞村であるクサールの中でも、非常に保存状態がよく、今でも粘土で作られた家々が並び、今でも人々が暮らしているという点で評価されています。
ちなみに、あまりにも「砂漠の村々」といったイメージが合うのか、映画の撮影地に選ばれがちで、『アラビアのロレンス』『グラディエーター』などのロケ地として有名。しかし、観光客が多く訪れるので、現在はクサールには人があまり暮らしておらず、ほとんどの人が対岸の家々に暮らしているというのが現状。…観光地あるあるですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。