登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(3),(4) |
登録年 | 1985年 |
イスタンブールの地下宮殿は「イスタンブール歴史地域」の構成資産の一つ。東ローマ帝国において最大規模の貯水池で、柱廊が続く空間はまるで宮殿のようでもあります。ところで、地下宮殿はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここでは地下宮殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、地下宮殿について詳しくなること間違いなし!
イスタンブールの地下宮殿とは?
イスタンブールの旧市街の中心であるスルタンアフメト広場の北部に位置する東ローマ帝国(395〜1453年)時代の貯水槽。トルコ語で、地下宮殿(Yerebatan Sarayı)を意味するために宮殿が地下にあったと思われますが、6世紀ころにユスティニアヌス1世(482年もしくは483年〜565年)によって建設されたもので、ここは当初から貯水池として使用されていました。
もともとは商業や裁判のために使用されていた中庭のような空間を、耐火レンガの壁で囲んで貯水槽に改装したもので、長さ138m、幅65mの広大な空間が広がっていて、7万8000立方mもの水を蓄えることができました。円柱のうち98本は5世紀に流行したものだったり、メデューサの顔が掘られた彫刻を柱の土台にしたりと、おそらくは在庫品を集めて造られたと考えられています。
イスタンブールの地下宮殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
地下宮殿が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
アヤ・ソフィアやスレイマニエ・モスクなど、ビザンツ帝国やオスマン帝国時代の傑作が多く残るという点。
登録基準(ii)
テオドシウスの城壁は軍事建築、アヤソフィアは大聖堂の建築様式やモスクのモデルとなったりと、ヨーロッパと中東各国の芸術や建築様式に影響を与えたということ。
登録基準(iii)
イスタンブールの旧市街に残る建築物はビザンツ帝国とオスマン帝国時代にここが繁栄していた様子がよく分かり、特にスレイマニエ・モスクやゼイレク・モスク周辺の伝統的住宅はオスマン帝国後期の都市設計などが見られるという点。
登録基準(iv)
各時代の建築物が残るイスタンブールは街全体が建築史そのものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
地下宮殿は、東ローマ帝国時代に建造された中庭を地下の貯水池であり、在庫品としてさまざまな時代の円柱や彫像などが使用され、各時代の建築の歴史が分かるという点で評価されています。
ちなみに、地下宮殿は1963年の映画『007 ロシアより愛を込めて』のロケ地として利用されたことで有名。しかし、劇中では旧ソ連の大使館の下に地下宮殿が位置するとされていましたが、実際のロシア大使館はここにはなく、新市街に位置するため、そのあたりの設定は架空となっています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。