奈良県の世界遺産候補「藤原宮跡」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(2),(3),(4),(5),(6)
申請年(暫定リストに記載)2007年

藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)は「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成遺産の一つ。藤原京は694年に持統天皇が遷都し、平城京へと都が移される710年まで約16年間にわたって利用され、国の中心として政務や儀式が行われた場所でした。ところで、藤原宮跡はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?

ここでは藤原宮跡がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、藤原宮跡について詳しくなること間違なし!

目次

藤原宮跡とは?その歴史を解説

橿原市藤原京資料室内にある模型
※橿原市藤原京資料室内にある模型

藤原京は奈良県中央部にある橿原市と明日香村にかかる地域にあった都城(とじょう)。飛鳥時代の694年から都が平城京に移る710年まで使用したのは約16年と短い期間であったものの、ここは唐風の都市計画をモチーフにした日本最初の本格的な都城であり、東西2.1km、南北3.2km程度の長方形の形状で、25平方kmという面積は後に築かれた平城京や平安京よりも広く、古代で最も広大な都であったとされています。

その構想は既に天武天皇の時代からあったものの、妻であり、女性天皇である持統天皇(645〜703年)の時代に南東部にあった飛鳥京から遷宮しました。ここは持統天皇だけではなく、後に即位した文武・元明天皇も引き続き居住したことから、それまで一代もしくは数年のうちに遷宮していた慣例が終わったという時代の転換期でもあり、飛鳥時代の日本における政治・文化の中心地であったことの証拠で、日本の律令制度(りつりょうせいど)が整えられた場所でもあります。

藤原宮跡

藤原京は、平城京や平安京と同じく、碁盤の目のように区画された道路や区画が整然と並ぶ計画都市でした。都城のほぼ中心に内裏・官衙(かんが、役所・官庁のこと)のある藤原宮があり、ここには朝堂院(ちょうどういん、政庁のこと)と呼ばれる主要施設があり、当時の政治の中心として機能していました。

しかし、現在の藤原宮跡には、どの建造物も残っておらず、遺構のみとなっています。発掘調査が進められ、宮殿や建物の基礎部分が復元され、朝堂院は日本でも最大規模であり、かつて大極殿(国家的儀式が行われる場所)の遺構も見られます。

なぜ藤原宮には蓮池があったり、コスモスが植えられているの?

藤原宮跡のコスモス

藤原宮跡は、秋になると広大な敷地にコスモスが美しく咲き誇ることで有名です。もともと自生していたわけではなく、2006年から地元の自治体によって、植栽事業が行われ、菜の花花園には約250万本の菜の花、コスモス花園には約100万本のキバナコスモスや約300万本のコスモス、蓮池には11種類のハスが植えられました。

特に9月下旬から10月にかけて、大極殿跡の南側がピンク、白、紫などいろとりどりのコスモスで埋め尽くされ、訪れる人々を楽しませています。

藤原宮跡はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

藤原宮跡

日本政府が提出したの暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは2007年に暫定リストに記載された、日本における基準です。

登録基準(ii)
文化の交流を示すもの

登録基準(iii)
現存or消滅した文明の証拠

登録基準(iv)
人類の歴史を象徴する建築物の代表的な段階や景観の見本

登録基準(v)
伝統的集落や人類と環境の交流の見本

登録基準(vi)
人類史上に残る出来事や現存する伝統、思想、信仰、芸術

世界遺産マニアの結論と感想

藤原京跡は、現在は遺構となっているものの、ここは平安時代以降の天皇中心の政治体制や律令国家の基礎が築かれた重要な場所であり、奈良時代の平城京や後の平安京へと続く都の原型としても貴重な遺構です。

ちなみに、現代人はこの都を「藤原京」と読んでいますが、当時は「新益京(あらましのみやこ、しんやくのみやこ)」と呼ばれていたことが正史である『日本書紀』でも記されています。藤原京は、意外にも大正時代から使用されて定着したもの。とはいえ、この時代は右大臣にもなった政治家・藤原不比等(ふじわらのふひと)が権勢を誇っていたので、まさに藤原氏の都という意味で「藤原京」と言えたかもしれませんけどね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1200以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定マイスター認定済。

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