登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (6) |
登録年 | 2008年 |
聖タデウス修道院は「イランのアルメニア人修道院建造物群」の構成資産の一つ。登録された修道院の中でも中心的な存在ですが、なぜここが評価されたのでしょうか?
ここでは聖タデウス修道院がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、聖タデウス修道院について詳しくなること間違いなし!
聖タデウス修道院とは?
西アーザルバーイジャーン州の小さな街、マークーの郊外に位置する修道院。伝説では、イエス・キリストの十二使徒の一人、聖タダイ(タデウス)がこの地で伝道活動をしていたものの、殉教してしまいます。彼の墓の上に修道院が建造されたとされますが、詳しい時期は今でも不明。14世紀に地震によって崩壊し、現在の修道院はその時期に再建された時の構造が利用され続けています。
現在の建造物のほとんどは19世紀に修復されたもので、西側の増築された部分は、アルメニア使徒教会の総本山であるエチミアジン大聖堂を複製したもの。アルメニア正教の聖堂建築らしく、タンブールと呼ばれる円柱を持つ、2つの尖塔が特徴的。聖タデウス修道院はトルコ系の言葉では「黒の教会(カラ・キリセ)」を意味しますが、最初期の修道院は黒い石を利用していたためにこのように呼ばれています。
聖タデウス修道院はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
聖タデウス修道院が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
イランのアルメニア人修道院建造物群は、アルメニアの建築と装飾の伝統が残り、これらはビザンツやギリシャ正教会、ペルシャなど、他のエリアの文化との交流が見られるという点。
登録基準(iii)
アルメニアの文化圏の中でも南東部に位置する修道院は、この地域におけるキリスト教文化の中心地であり、修道院と聖堂は保存状態もよく、現在はイスラム教徒が多く住むエリアにおいて過去にその文化が存在したという最後の証拠となっているということ。
登録基準(vi)
アルメニア人修道院建造物群は、イエス・キリストの十二使徒の一人、聖タダイがこの地で布教して殉教したという伝説があり、アルメニア正教会ではその伝統を重視していて、現在でも巡礼地であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
聖タデウス修道院は、聖タダイがこの地で殉教したことからその名が付けられ、周辺国との影響を受けながら、何度も再建と修復を繰り返し、現在の形となりました。アルメニア正教の信仰が現在も残されているという点で評価されています。
ちなみに、タダイは「タダイと呼ばれるユダ」と聖書には記載があり、同じユダではあるものの、イエスを裏切ったイスカリオテのユダとは別人。しかし、西欧では名前が似ているので、あまり崇拝されないという。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。