登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(4) |
登録年 | 2000年(「シャンボール城」単独では1981年登録) |
シャンボール城は「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」の構成遺産の一つ。ここはロワール渓谷でも最大規模の城で、フランスでも随一の美しい装飾を持つことでも有名。ところで、シャンボール城はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではシャンボール城がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シャンボール城について詳しくなること間違いなし!
シャンボール城とは?
フランス北中部ロワール=エ=シェール県にあり、ロワール渓谷沿いでも最も広大な城。ここはヴァロワ朝のフランソワ1世(1494〜1547年)によって1519年から建築が始められたものですが、彼の治世の間はほぼ滞在することはありませんでした。もともとは狩猟小屋として建造されたものですが、後に中央の本丸を囲むように4つの塔が増築され、現在は部屋が440もあり、階段は74ヶ所もあるという広大な城へと変化。
ここは防衛施設が造られず、装飾だけにこだわって建造されたことから、フランス・ルネサンス様式の最高傑作となりました。しかし、フランソワ1世が亡くなると、城はルイ14世などの王族が改修したりしたものの、一時は野戦病院になった時代もあり、荒廃と改築を繰り返しました。
シャンボール城の螺旋階段
シャンボール城の名物といえば、城内にある二重螺旋の階段は、2つある入口からそれぞれ入ると、決して途中で出会うことがなく、屋上へ行けるという不思議な構造。これはフランソワ1世の客として招かれた、ルネサンスを代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519年)による設計という説もあります。
『美女と野獣』に登場する城のモデルになった?
18世紀のフランスを舞台にした物語『美女と野獣』は、魔女に呪われた野獣が主人公のベルとの真実の愛によって、真の姿を取り戻すというおなじみのストーリー。2017年のディズニーの実写版では、人里離れた土地にあり、野獣が暮らしていたとされる城のモデルとなったと言われるのがシャンボール城。
とはいえ、作品を観た人は違和感を覚えるかもしれませんが…優雅な外観を持つシャンボール城は、劇中の城とはあまり似ていないとはいえるでしょう。おそらくは屋根の部分など、城の外観の参考になった程度だとは思われます。
シャンボール城はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シャンボール城が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
渓谷内にはブロワ、シノン、オルレアン、トゥールなど歴史的な景観を持つ街が点在し、そして、美しい外観のシャンボール城も見られるという点。
登録基準(ii)
渓谷は、2000年にも渡って人間と環境の調和をしつつ発展したという文化的景観が見られるということ。
登録基準(iv)
渓谷沿いに残る建築物は、王族や貴族たちによって建造され、デザインや思想において、ルネサンスを経て啓蒙主義時代の理想を実現したものであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
シャンボール城は、フランスでルネサンスを開花させたフランソワ1世による理想の城だけに、ロワール渓谷沿いの城の中でも随一の美しさを誇るという点で評価されています。
ちなみに、シャンボール城が「美女と野獣の舞台になった」というネット記事もありますが、これは真実ではなく、18世紀にヴィルヌーヴ夫人によって記された作品でも、城の位置などは具体的には描かれていません。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。