イギリスの世界遺産「ロンドン塔」とは?幽霊の目撃談やカラスの伝説を含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年1988年

ロンドン中心部の東側に位置するロンドン塔は、ホワイト・タワーを中心としたノルマン様式の軍事施設としての傑作。現在の英国王室のルーツであるウィリアム1世によってテムズ川の北岸に建造され、英国の歴史とともに発展してきた要塞宮殿でもあります。

ここでは、ロンドン塔がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロンドン塔について詳しくなること間違いなし!

目次

ロンドン塔とは?

ロンドン塔
画像素材:shutterstock

イギリスの首都ロンドンのイーストエンドに位置するロンドン塔は、現在の英国王室のルーツであるノルマン朝のウィリアム1世によって、ロンドンの玄関であると同時に首都を防衛する要塞として建造されたもの。中心にあるホワイトタワーは、11〜16世紀にかけて要塞宮殿として、多くの王の居城として利用されていました。13〜14世紀には、罪人を収監して処刑する監獄、死刑場としての機能も加わります。他にも、二重の城壁に囲まれた敷地内には、天文台や造幣局などが続々と設立。

13世紀後半からは塔は保管庫として、公式文書や国王の所蔵品を保管する場所としても利用されます。17世紀にはヘンリー8世により王室の宝石なども保管され、現在も「ジュエル・ハウス」には偉大なアフリカの星と呼ばれる、530カラットのダイヤモンドも置かれています。

ロンドン塔
画像素材:shutterstock

また英国王室の闇の歴史として、多くの王族が処刑された場所でもあります。ブラッディ・タワーでは、15世紀にエドワード5世とその弟のリチャードがここで行方不明にあったりと血なまぐさい歴史があります(ちなみに二人の遺骨は150年後にホワイトタワーで発見)。ウェイクフィールド・タワー、ビーチャム・タワーもかつては牢獄や拷問部屋として利用されてました。

16世紀にはヘンリー8世の妻、アン・ブーリンとその娘であるエリザベス1世もロンドン塔に幽閉されたことも。エリザベス1世は女王に即位しましたが、アン・ブーリンを含め、ヘンリー8世の妻キャサリン・ハワード、英国初の女王ジェーン・グレイなどがここで処刑されたことでも有名です。

ホワイトタワー

ホワイトタワー
画像素材:shutterstock

ロンドン塔で最も古い建造物で、中心にある天守閣的な建造物。高さ27mのホワイトタワーは、1078年から10年かけて建造され、当時はロンドンで最も高い建造物として、ノルマン人の力を見せつけるという目的もありました。11世紀の要塞建造物としては、最も保存状態がよく、英国各地に残る要塞宮殿はこの建造物をモデルとしています。

トレイターズ・ゲイト(反逆者の門)

トレイターズ・ゲイト(反逆者の門)
画像素材:shutterstock

テムズ川に面した水門。罪人を収監する際に使用されたことから、この名が付けられています。後に女王になるエリザベス1世もここをくぐって幽閉されており、「この門をくぐると生きて帰れない」と言われたほどに恐ろしい存在でした。

ロンドン塔には幽霊が出る?

ホワイトタワー
画像素材:AdobeStock

英国史の中でも、特に血なまぐさいエピソードが多いロンドン塔だけに、幽霊の目撃数も多数。ホワイト・タワーやブラッディ・タワーでは、ここで遺骨となって発見されたエドワード5世とヨーク公リチャードの幽霊が出ることでも有名です。

さらに、ヘンリー8世の2番目の王妃であったアン・ブーリンは、ヘンリー8世が離婚がしたいために姦通の疑いがかけられ、1536年に斬首刑に処されました。その最期は壮絶で首だけになった後も何かを語りかけたそう…。その後、ロンドン塔には首のないアン・ブーリンが徘徊するとか。…恐ろしいエピソードは多数ありすぎて紹介できないほど。

ロンドン塔のカラス

ロンドン塔のカラス
画像素材:shutterstock

ロンドン塔にはワタリガラスが飼育されていて、飛び立てないように翼の一部を切っています。もともとロンドン塔にはカラスが多く住んでいたのですが、17世紀にチャールズ2世が占い師から「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩れ、英国は滅びる」と言われたため、ワタリガラスを飼育するようになりました。そのため、現在でも翼の一部が切り取られたカラスを飼育しているのです。

ロンドン塔はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ロンドン塔
画像素材:shutterstock

ロンドン塔が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ロンドン塔は英国の要塞宮殿のモデルとなり、各地で建造された要塞宮殿にも影響を与えたという点。

登録基準(iv)
ホワイトタワーは、ノルマン様式の傑作で、ロンドン塔は中世の軍事建築の発展が見られるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

血なまぐさい歴史が残るロンドン塔ですが、評価されているのは優れたノルマン様式の要塞宮殿で、増築を繰り返して現在に至っているという点と、英国内に点在する要塞宮殿のモデルとなったという点。

ちなみに、ロンドン塔を守るヨーマン・ウォーダーズという近衛兵が代々この地を守ってきましたが、現在は城を案内するガイドとして紹介されています。なぜか「ビーフイーター(牛食い)」というあだ名が付けられているのですが、これの起源はハッキリしていません。ビーフイーターという名前があまりにも有名になったので、ジンのブランドとして有名な「ビーフィーター・ジン」もここから由来しています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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