登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
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登録基準(暫定リストに記載) | (2),(3),(4),(5),(6) |
申請年(暫定リストに記載) | 2007年 |
香具山(かぐやま、天香久山/あまのかぐやま)は「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成遺産の一つ。藤原京の東に位置する小高い山で『日本書紀』や『古事記』にもその名前が登場し、和歌のテーマになったことから古くから信仰されていました。ところで、香具山はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?
ここでは香具山がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、香具山について詳しくなること間違なし!
香具山(天香久山)とは?

奈良県橿原市に位置する山で、「大和三山」(天香久山、畝傍山、耳成山)の一つとして知られています。「山」とはいうものの、多武峰であり、標高は152.4mとそれほど高くはないのが特徴。どちらかというと現在では小高い丘といったイメージ。
ここは飛鳥時代に首都でもあった藤原京の東に位置することから、古くから信仰されていて、日本神話にも登場するほどに神聖な場所とされてきました。それもあり、山の北麓には、國常立命(くにとこたちのみこと)を祭神とする國常立神社や、櫛真智命神(くしまちのみこと)を祀る天香山神社といった、占いにまつわる神に関係する神社があり、南麓には天照大神の岩戸隠れの伝説が残る岩穴を祀る、天岩戸(あまのいわと)神社などがあります。
「春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣ほしたり 天香具山」の意味は?



藤原京のすぐそばにあったことから、和歌のテーマにもされていて、特に奈良時代末期に成立したとされる万葉集では単独で9首も詠まれるほど。その中でも、この歌は持統天皇(645〜703年)の詩とされていて、天皇自ら読んだ歌ということで知名度が高いもの。
現代語訳すると「春が過ぎ、夏が来たようだ。白い衣が干されている天の香具山に」という意味で、「白妙の衣」は夏の衣の白さを表しており、香久山で白い布が干されている光景を見て、夏の訪れを感じているというもの。季節の移り変わりをテーマとしているだけあって、日本人の自然感が見られ、日本の歌の原点というべき表現でもあるでしょう。
香具山(天香久山)はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?



日本政府が提出したの暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは2007年に暫定リストに記載された、日本における基準です。
登録基準(ii)
文化の交流を示すもの
登録基準(iii)
現存or消滅した文明の証拠
登録基準(iv)
人類の歴史を象徴する建築物の代表的な段階や景観の見本
登録基準(v)
伝統的集落や人類と環境の交流の見本
登録基準(vi)
人類史上に残る出来事や現存する伝統、思想、信仰、芸術
世界遺産マニアの結論と感想
香久山は、現在は小高い丘に見えますが、古くから信仰されており、今でも神社などがあることから歴史的景観が見られるというのが特徴です。
ちなみに、古来から「天香久山」「天香具山」「香久山」とか、名称はかなりバラバラですが、地名として橿原市はこの山を「香久山」としているので、記事では「香久山」という名称を採用しています。さらには、JR西日本の桜井線にも「香久山駅」があるので、現在の地名としては香久山が優先されている傾向にある様子。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。