新潟県の世界遺産候補「宗太夫坑」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(2),(3),(4)
申請年(暫定リストに記載)2010年

宗太夫坑(そうだゆうこう)は「佐渡島の金山」の構成遺産の一つ。ここは江戸時代初期に掘られた手掘りの坑道で、現在もそのまま残され、当時の様子を再現している展示館でもあります。ところで、宗太夫坑はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?

ここでは宗太夫坑がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、宗太夫坑について詳しくなること間違なし!

目次

宗太夫坑とは?

宗太夫坑
画像素材:shutterstock

相川金銀山は島の西部に残る金山で、16世紀末に開発が始まりました。現在では「史跡 佐渡金山」として公開されています。宗太夫坑は、江戸時代初期に開削された坑道で、ここは佐渡金山最大の鉱脈・青盤脈の西側を掘り進めていったもの。坑道は江戸時代の採掘形式の特徴である「将棋の駒型」と呼ばれる台形のような形になっていて、途中には斜坑や煙を通す穴などが点在しています。

現在は江戸時代に描かれた「佐渡金山絵巻」を再現するように、当時の採掘の様子を人形などを置いて再現した展示館となっていてます。排水作業から硬い岩盤をどのように採掘するか、その様子が再現したり、羅針盤測量器を使って測量をしていたりと、東アジアにおいても高い技術力があったということがよく分かるもの。

坑道の中には、金山独自の神事芸である「やわらぎ」の様子の展示が見られます。これは坑道の岩盤があまりも硬かったため、山の神の心を和めることから、岩盤を「やわらげる」ために祈ったことから始められたとか。

宗太夫坑はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

宗太夫坑
画像素材:写真AC

宗太夫坑が評価されたのが、以下の点。

日本政府が提出したの暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは2010年に暫定リストに記載された、日本政府における基準です。

登録基準(ii)
金山を中心とする鉱山遺跡群は、ここで発展した採掘技術や管理体制など、東アジアの鉱山にも影響を与え、大量に採掘された金によって江戸幕府や明治政府を支え、国際経済に多大な影響を与えたという点。

登録基準(iii)
400年以上にも渡って日本の金銀の採掘を続けてきた佐渡島の金山は、鉱山遺跡や歴史的建造物、労働者たちが暮らした町や集落などは保存状態も良く、アジアの他の鉱山跡地では見られないということ。

登録基準(iv)
金山は砂金鉱床や露頭堀りなどの古典的な採掘技術が行われたり、近代的な鉱山群なども見られたりと、近世から近代まで採掘技術や鉱山運営の発展の段階を示し、人類史の重要な段階であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

宗太夫坑は、江戸時代初期から使用されていた坑道の跡であり、当時の様子がよく分かるもの。優れた採掘技術が利用されていたことから、近世から近代までの鉱山の発展が見られ、東アジアの鉱山技術だけでなく、世界経済にも大きな影響を与えたという点で評価されています。

ちなみに、江戸時代に鉱山の採掘にまつわる専門家を「山師」と呼ばれていましたがが、このことから「冒険・投資をする人」、そして、そこから「詐欺師」という意味合いを持つようになり、今では悪いイメージの名称ですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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