最近、日本のタイ料理レストランでも人気なのが、ココナッツ風味のカレーラーメンである「カオソーイ」。これはタイ北部の伝統料理として知られるのですが、実は名前こそ同じものの、ラオスには全く違う麺料理があるって知っていただろうか?そんなラオス版のカオソーイとはどんなグルメなのか?
今回は、ラオスの世界遺産・ルアン・パバンの町で味わったグルメ「ラオス式カオソーイ」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
ラオスの世界遺産「ルアン・パバンの町(ルアンパバーン)」は旅人のオアシス
ラオスの国土のほとんどは「山」と言っていいほどに、どこまで行っても森が続いている…そんなイメージ。特に北部は交通の便も悪く、世界遺産ルアンパバーンはそんな森という「砂漠」の中で突如出現する街であり、まさに「オアシス」的存在。そんな土地柄であろうか…仏教寺院とフランス植民地時代の西洋建築が混在する街は、どこか優しく旅人を迎え入れてくれる。
もちろん、ラオス最後の王朝であるルアン・パバン王国の首都だけあって、ルアン・パバン様式と呼ばれる寺院がいくつも続き、厳かな雰囲気。街の規模も小さいのだが、街を歩くのは現地の方よりも旅行者が多いイメージで、どうも長居してしまうのがルアンパバーンの魅力なのだろうなぁ。
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ラオス北部のカオソーイは、ちょっと違和感があるが…ハマる味わい!
ラオスらしい町並みが続くルアンパバーンだが、食についてはタイ料理をはじめ、外国料理の店が多く、「現地の味」を楽しむチャンスは思ったよりも少ない。ただルアンパバーンというと手軽なファストフードとして、思い浮かべるのが「カオソーイ」だろう。まぁ、カオソーイというと、タイのチェンマイあたりのカレーヌードルのイメージがあると思うのだが、実はラオスのカオソーイは結構違うらしい!
とりあえず、メインストリートにあるカオソーイの専門店でオーダーしてみよう。「カオソーイ!」と店員さんが運んできたのは、明らかにきしめんにひき肉がのっかった「うっすい担々麺」風の麺が登場した…。あれ?これオーダーミスじゃないの?おーい、店員さーん。と思わず、タイ料理に馴染みのある方は、呼びそうになってしまうだろう。
しかし、これがラオスでは正真正銘の「カオソーイ」である!幅広のきしめんタイプのライスヌードルは基本スタイルであり、具は豚ひき肉と唐辛子、にんにく、トマト、エシャロットをのせ、「トゥアナオ」と呼ばれる納豆に近い発酵食品で味付けしたもの。どこがカオソーイやねん!と思うかもしれないが、これがこの国の正しいカオソーイである。
と文句ばかり言っていてもしょうがない。一口入れてみようか。思ったよりも…辛さはあまりなく、大豆の風味がスープ全体に馴染んでいき、しょっぱさの中にほんのりとうま味が広がっていく。このタイプの麺は、インパクトはないのだが、さっぱりしていて割と日本人には馴染みやすいと思われる。フォーのような毎日食べても飽きないタイプの麺だろう。それもそのはずで、現地の方は朝ごはんやランチで食べることが多いらしい。
さらに、別皿には香草やインゲン、ミント、ライム…大盛りで登場するのが嬉しいところ。しかも、これサービス品。日本で買ったらかなり高額となるので、これも現地ならではの魅力だ。さらに、卓上にはチリペーストまであるので、お好みでエスニック度満載にすることも可能!この自由度は、チェンマイ式にはないよね。
うーん、これは「世界遺産級」の味わいだ!
実はカオソーイはラオス式のほうが古いらしい…
と、まるでラオス式のカオソーイは異色であるかのように書いたのですが、実は…カオソーイはもともとミャンマーからラオス、タイへと伝来した料理であり、タイのものは中国系のイスラム教徒の影響を受けているために、牛肉や鶏肉を使うものになったとか。そう思うと、こちらのほうがオリジナルに近いのではないか?それなのに弟分のタイ式のほうが有名になるのもなぁ…と違和感。
しかし、このカオソーイはタイ式のわかりやすい味に比べて、まるでラオスで暮らす人々のように奥ゆかしくて、どこか素朴な味わいだ。そう、ルアンパバーンの静かな街並みで啜るカオソーイは、仏教の聖地でもあるこの地のように、心に静けさを与える…そんな逸品でもあるだろう。
世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。