登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(4) |
登録年 | 1983年 |
スイス北東部にあるザンクト・ガレンには、ヨーロッパの学術の中心地だった場所。18世紀にバロック様式で再建され、大聖堂そのものも美しいですが、特に8〜19世紀までの書物や写本を多く保管する図書館はロココ様式に再建されたもの。
ここでは、ザンクト・ガレン修道院がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ザンクト・ガレン修道院について詳しくなること間違いなし!
ザンクト・ガレン修道院とは?

スイス北東部のザンクト・ガレン州の州都サンクト・ガレン。この地は、7世紀にアイルランド出身の聖ガルスが住んでおり、8世紀に修道院が建造されると、ガルスの名前にちなんでサンクト・ガレンと名付けられました。ベネディクト会の修道院になると、9〜10世紀ころから学問の中心地に。
ここでは自給自足生活が続けられ、13世紀になると神聖ローマ帝国のフュルスト(諸侯)として認められると、周囲一帯も「ザンクト・ガレン」と呼ばれるようになりました。その後、火災や騒乱によって破壊されると、18世紀になると後期バロック様式のものに再建され、その時期にロココ様式の付属図書館も完成。



ザンクト・ガレン修道院付属図書館
建物は18世紀に完成したもので、中世の文献を保管する図書館としては世界最大の規模。特に7〜9世紀のアイルランドの写本など、2200を超える写本のコレクションを保管しており、これらは資料として大変貴重なもの。なんと蔵書数は16万冊を超えます。
ザンクト・ガレン修道院はどんな理由で世界遺産に登録されているの?



ザンクト・ガレン修道院が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
図書館で保管している9世紀に作成された修道院平面図は、実現されなかったものではありますが、修道院建築の発展に大きく影響を与えていたという点。
登録基準(iv)
ここは図書館などを設けたベネディクト会の修道院の典型的な例で、再建を繰り返すことによってさまざまな建築様式が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
大聖堂は18世紀にバロック様式で再建されたものではありますが、図書館も併設されており、学問において多大な功績を残してきたベネディクト会の修道院の典型的な例であるという点も評価。そして、付随図書館は中世の文献の数は世界最大ではあり、そこに残る平面図などからも、ここの建築様式が、各地の修道院建築に大きな影響を与えたというのもポイント。
ちなみに、なぜアイルランド出身の修道士がスイスにやったきたというと、アイルランドでは早い段階でキリスト教が布教していため、聖コルンバヌスなどはまだキリスト教に改宗していなかったガリア人(フランス・ベルギー・スイスなどに住んでいたケルト人の一派)へと布教して回っていたのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。