アルジェリアの世界遺産「ベニ・ハンマードの城塞」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3)
登録年1980年

アルジェリア北部の高地に築かれた城塞都市は、ハンマード朝(1007/1015〜1152年)の首都であり、全長7kmにも及ぶ城壁で囲まれた都市でした。ここは11世紀後半にヒラール族によって破壊。現在は遺跡となっていて、宮殿とモスクの遺構が残っています。特にモスクのミナレットは高さは25mもあり、これはアルジェリア最古のもので、後にモロッコやスペインのミナレットのモデルにもなりました。

ここではベニ・ハンマードの城塞がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ベニ・ハンマードについて詳しくなること間違いなし!

目次

ベニ・ハンマードの城塞とは?

ベニ・ハンマードの城塞
画像素材:R hakka(Wikimedeia Commmons)

ベニ・ハンマードは、アルジェリア北部の山岳地帯にあるムシラの街から北東へ約36kmに位置する遺跡です。ここは標高1000mの位置にあり、ベルベル系のイスラム王朝であるハンマード朝の開祖ハンマード・イブン=ブルッギーンによって1007年に建造。ここは交易の中心地として、商業と学問が大いに栄えました。しかし、1090年に当時この地方の侵略を狙っていたファーティマ朝によって遊牧民(ベドウィン)であるヒラール族が派遣され、ここは破壊。その後、街は放棄されました。

周囲は7kmもの城壁が現存していて、内部にはタイルや鍾乳石が残る宮殿跡があり、アルジェリア最大級のモスクなどの遺構には12の本堂と8つの梁間のある礼拝堂の跡が残っています。特にモスクに併設する、高さ25mのミナレットはアルジェリア最古のもので、その後モロッコやスペインで建造されるミナレットに影響を与えたもの。

ベニ・ハンマードの城塞はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ベニ・ハンマードの城塞
画像素材:R hakka(Wikimedeia Commmons)

ベニ・ハンマードが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ベニ・ハンマードの城塞は、ハンマード朝による城塞都市であり、ここはマグリブ(アフリカ北西部)やスペイン、シチリア島などの他の文明の影響を与えるだけでなく、アラブ建築の発展にも影響を与えました。そして、ここには宮殿やモスク、ミナレットの遺構が残っていて、ハンマード朝の富と経済力を示すものであるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ベニ・ハンマードは、アルジェリア北部で11〜12世紀に繁栄したハンマード朝の首都の姿を残す遺構で、ここで確立されたアラブ建築、特にミナレットはモロッコやスペインで建造されるミナレット建築のモデルにもなっているという点で評価されています。

ちなみに、現在の北アフリカは砂漠化しているエリアが多いものの、実は中世までは砂漠ではなく、農地が広がっていたのです。しかし、ベドウィンがこの地で暮らすようになると、彼らは遊牧民であるために遊牧を広めたことで砂漠化したという説を唱える学者も。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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