登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3),(4),(5) |
登録年 | 1996年 |
南イタリアのプーリア州南部は、石灰岩の大地が広がっています。人々は石灰岩の切石を使用して家を建築し、それらはとんがり屋根を持つ住居トゥルッロとなりました。アルベロベッロの旧市街にはトゥルッロの集合体トゥルッリが1500軒以上もあり、これらは今でも現役の住居として使用されているもの。
ここでは、アルベロベッロのトゥルッリがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アルベロベッロについて詳しくなること間違いなし!
アルベロベッロのトゥルッリとは?
アルベロベッロは、南イタリアにあるプーリア州にある小さな町。ここには先史時代から石灰岩を使用した住居、トゥルッリ(トゥルッロの集合体)が多く並ぶ街。10世紀には、既に石灰岩を利用した家々があったとされていますが、最も古い記録は16世紀。14世紀にターラント公ロベルトがコンヴェルサーノ伯にこの地を与えた頃には、アルベロベッロ周辺は何もなかったとされます。
16世紀になると農民がここに住み始め、円錐状の茶色い屋根を持つトゥルッリが40ほど存在していたと記録されています。そして、17世紀になるとコンヴェルサーノ伯ジャンジローラモ2世が製粉所、パン屋、宿屋などの建設を命じて、集落が拡大。18世紀まで人口が増えていくものの、18世紀に封建制が終了するとトゥルッリの建設は行われなくなりました。
トゥルッリが多いエリアは2つあり、アイア・ピッコラ地区とモンティ地区(リオーネ・モンテ地区)で、合計で1500軒以上のトゥルッリが残っています。
アルベロベッロのあるイトリア地方には、先史次代から石灰岩を使用して石積みの住宅が築かれていました。トゥルッロは、一つの部屋に一つの屋根が築かれ、それが集まるとトゥルッリとなるのです。トゥルッリは、さまざまな使用用途があり、シェルターや倉庫に使われることもあれば、小さな土地の領主や農民の住居としても利用されていました。
トゥルッリの構造は割とシンプル。壁は石灰岩の切石や岩などを積み上げたもので構成されています。そして、モルタルを使用せずに作られるというのが特徴。屋根はドーム型に灰色の切石を積み立てていて、円錐型になっているため、どのトゥルッリもキノコのような形状になるのです。屋根には石灰で神話・宗教的なシンボルが描かれるのもトゥルッリの特徴。
アルベロベッロのトゥルッリはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アルベロベッロが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
アルベロベッロのトゥルッリは、地中海で数千年の歴史のある石積みの技術が使用されていることを示すという点。
登録基準(iv)
アルベロベッロのトゥルッリは、旧市街に残る伝統家屋として非常に優れたものであるということ。
登録基準(v)
アルベロベッロのトゥルッリは、今でも人々が住み続け、保護されている住居であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
トゥルッリ自体は、アルベロベッロ以外にもあるのですが、ここには1500軒以上も保護され、今でも人々が住み続けているという点で評価。これは非常に優れた建築で、地中海沿岸で発達した石積み技術の持続性を示すものであるということもポイント。
ちなみに、アルベロベッロでこれだけ多くのトゥルッリが築かれたのは、解体しやすいという点がメリットだったとか。ナポリ王国が家の数だけ税を納めなくてはいけず、役人が確認する時に家の数をわざと減らして徴税を減らしたという記録もあるほど。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。