登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
登録基準(暫定リストに記載) | (1),(2),(6) |
申請年(暫定リストに記載) | 2003年 |
エジプト北部の大都市アレクサンドリアは「地中海の真珠」と呼ばれるほどに美しい港町。現在はコスモポリタンな国際都市ではありますが、市内には古代遺跡も残っていて、かつて地中海世界で名を馳せていた「アレクサンドリア博物館」があったことでも知られます。現在は「新アレクサンドリア博物館」として復活したことでも有名ですね。
ここではアレクサンドリア、古代遺跡と新しい図書館がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アレキサンドリアについて詳しくなること間違いなし!
アレクサンドリア、古代遺跡と新しい図書館とは?
アレクサンドリアはエジプト北部にあり、カイロに次ぐ第二の都市。ここはマケドニア王であり、大帝国を築いたアレクサンドロス大王によって紀元前332年に開かれた街で、やがてエジプト最後の王朝であるプトレマイオス朝(前305年〜前30年)の首都となりました。古代ローマ帝国時代は、40万から70万もの蔵書を誇ったとされる古代世界において最大規模の図書館・研究機関「アレクサンドリア図書館」があったことでも有名。
キリスト教時代は五代総主教座の一つであり、7世紀にはアラブ勢力に支配されるもの、ここは学術都市として繁栄を続け、アラビア科学の中心地でもありました。近代になると国際貿易港として繁栄し、現在は工業や経済の中心地でもあります。
アレクサンドリアは絶えず戦争が発生していたために、市内には古代遺跡はそれほど残っていませんが、かつて存在していたギリシャ神殿「セラペウム」の跡地であり、高さ30mの「ポンペイの柱」は当時の名残を残すもの。他にもローマ時代の円形劇場や、地下墓地であるカタコンベなどの遺跡が点在しています。
市内から外洋に突き出た半島の先には「カーイト・ベイ要塞」があり、これは15世紀後半に建造されたものですが、かつて世界七不思議の一つ「アレキサンドリアの大灯台」があった場所。8世紀の地震で崩壊したため、灯台の資材を流用したとされています。
新アレクサンドリア図書館
古代には海岸沿いにあったとされるアレクサンドリア図書館。7世紀ころに破壊されてしまったとされていて、その後は街に大規模な図書館は築かれませんでした。しかし、1970年代から、かつて図書館があった場所に新図書館を復活させるというプロジェクトが開始。
2002年にはユネスコとエジプト政府が共同で建設した図書館が完成しました。このは総面積8万5000平方mの敷地に11階建ての建造物が配置されるという構造。古代と同じく、文化センターとしても機能していて学校も併設されています。
世界遺産マニアの結論と感想
アレクサンドリアは、現在は大都市であるものの、古代ギリシャ時代から続く遺跡が点在。人類の歴史において重要な存在であったアレキサンドリア図書館を復活させ、過去と現在だけでなく、未来への架け橋として価値が高いということで暫定リストとして登録されています。
ちなみに、アレクサンドロス大王は、20あまりのアレクサンドリアを建設したとされていますが、エジプトのものが最も有名である一方、他国のアレクサンドリアはあまり有名ではありません。というのも中東各地で建造され、後の時代に名前が改名されてしまった都市が多いため。例えば、アフガニスタンの大都市ヘラートなどが有名ですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。