メキシコの世界遺産「パドレ・テンブレケ水道橋の水利システム」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (4)
登録年2015年

メキシコの中央高原のメキシコ州とイダルゴ州の間に位置する約48kmもの水道橋。「パドレ・テンブレケ(テンブレケ神父)」の名称はフランシスコ会の修道士フランシスコ・デ・テンブレケに由来しています。水道橋は水路と貯水タンク、貯水池などを組み合わせたもの。一段のアーチ橋で築かれた水路としては世界最大の建造物でした。特にテペヤワルコにあるアーチ型の水道橋は高さ約40mもの高さを誇ります。

ここではパドレ・テンブレケ水道橋がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パドレ・テンブレケ水道橋について詳しくなること間違いなし!

目次

パドレ・テンブレケ水道橋の水利システムとは?

パドレ・テンブレケ水道橋の水利システム
画像素材:shutterstock

16世紀にスペインから伝道のためにメキシコを訪れた「テンブレケ神父」にちなんだパドレ・テンブレケ水道橋は、1555〜1572年に建設され、メキシコ中央高原のテペヤワルコ渓谷とパパロテ峡谷まで68のアーチで構成される48.22kmもの長さを誇る水利システム。水道橋は現在のメキシコ州とイダルゴ州に位置します。これは水をくみ上げるエリアと湧き水、水路、貯水タンク、橋、貯水池などの施設を含んでいて、メソアメリカの伝統的な日干しレンガ(アドベ)を使用し、古代ローマから開発されてきた水利システムと地元の建築技術を組み合わせて建造されたもの。

水道橋はアメリカ大陸における水利システムで、この地に住む地元民から支援を受け建造されたもの。テペヤワルコにあるアーチ型の水道橋は高さは39.65mにもなり、アーチの部分も33.84mにもなるほど。当時は一段のアーチで築かれた一層構造の水路としては世界で最も高いものでもありました。

パドレ・テンブレケ水道橋の水利システムはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

パドレ・テンブレケ水道橋の水利システム
画像素材:shutterstock

パドレ・テンブレケ水道橋が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
テペヤワルコにある水道橋はローマ時代から16世紀までに建設された水道橋の中でも、一段のアーチで築かれた水路としては世界最大の高さであり、木材ではなく、日干しレンガを使用した最高傑作であったという点。

登録基準(ii)
パドレ・テンブレケの水利システムはローマの石造りの水道の遺産やスペインのアンダルシアの水圧管理技術を、土着の伝統を融合させたということを示すもの。これらの建設のために労働集団の伝統的な組織やアドビ(日干しレンガ)の使用、アーチ構造などのメソアメリカの文化が見られ、フランシスコ修道会の人道主義と地元の伝統を融合した記念碑であり、公共施設でもあったということ。

登録基準(iv)
パドレ・テンブレケ水道橋は、メソアメリカの建築知識とローマ・ルネサンスの水利工学の知識に基づいた水利システムの例で、建築に使用された材料とその技術はメソアメリカとヨーロッパの出会いによって生まれた水利システムであったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

パドレ・テンブレケ水道橋は、ヨーロッパで磨かれた水道橋の技術と、メソアメリカの日干しレンガを組み合わせて生まれた独特の水利システムで、これはフランシスコ会の修道士にちなんで建設されたこともあり、福祉という側面もあったという点で評価されています。

ちなみに、メキシコシティを囲むように位置するメキシコ州。もともとメキシコとはアステカ族の言葉で「メシトリの地」という意味で、メシトリとはアステカ族の守護神。場所を意味する接尾辞の「コ」を付けてメキシコになるのですが、もともとはこのあたり一帯を示す言葉だったのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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