ギリシャの世界遺産「オリンピアの考古遺跡」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (3), (4), (6)
登録年1989年

ペロポネソス半島の西部に位置するオリンピアでは、ゼウス信仰の聖地で、紀元前8世紀ころから「オリンピアの祭典」というゼウスに奉納するスポーツ大会が4年に一度開かれました。これは現在の近代オリンピックの原点となったもの。遺跡には競技場や体育館、練習場など、競技関連の遺構が並んでいます。

ここではオリンピアの考古遺跡がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、オリンピアの考古遺跡について詳しくなること間違いなし!

目次

オリンピアの考古遺跡とは?

オリンピアの考古遺跡
画像素材:shutterstock

西ギリシャ地方にあるアルヘア・オリンピアには、古代のオリンピックである「オリンピアの祭典」が行われたオリンピアの遺跡があります。ここは渓谷沿いに都市が建造され、紀元前10世紀にゼウス崇拝の中心地となり、聖域となりました。

オリンピアは、4年に一度全ギリシャから集まる「オリンピアの祭典」というゼウスに奉納するスポーツ大会が行われる場所で、記録としては紀元前776年からここで行われていました。特に古代オリンピックはギリシャ人による人文主義思想を反映したもので、競技者はギリシャ中から集まり、開催期間は戦争も中断するというほど。

オリンピアの考古遺跡
画像素材:shutterstock

聖域には、紀元前470〜457年に建造された高さ20mのゼウス神殿があり、これはドーリア式神殿の代表作でもあります。神殿の周囲には、パライストラ(浴室や更衣室などを含む練習場)、競技場のスタディオン、体育館のギムナシオンなど、オリンピックの競技用の施設で囲まれているのが特徴。

古代オリンピックは393年の第293回まで行われたものの、ローマ帝国がキリスト教を国教と定めた後、聖域は破壊。この地はそれ以降はキリスト教徒たちが暮らしていましたが、7世紀の地震で倒壊し、18世紀に再発見されるまでは地中に埋もれてしまいました。

オリンピアの考古遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

オリンピアの考古遺跡
画像素材:shutterstock

オリンピアの考古遺跡が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
オリンピアの考古遺跡のゼウス神殿はほぼ崩壊しているものの、彫刻だけでなく、彫刻家プラクシテレスの作品・エルメス像などが現存していて、美術史において重要な傑作が残っているという点。

登録基準(ii)
オリンピアの考古遺跡は、ここはスポーツ大会が行われている場所だけに、ゼウス神殿はドーリア式の神殿のモデルとなり、ローマの建築家ウィトルウィウスの著作『建築について』でも競技場やパライストラなどについてほぼ言及していることは間違いないということ。

登録基準(iii)
オリンピアの考古遺跡は、紀元前4000年から1100年まで人々が暮らしていたということを示し、その後ゼウス信仰の聖域となり、紀元前776年から紀元393年までオリンピックが開催され、さらに聖域はビザンツ教会として利用されていたりと、紀元7世紀まで継続的な人間の定住が見られるという点。

登録基準(iv)
オリンピアの考古遺跡は、宗教と政治、社会という複数の機能を持つ古代ギリシャの聖域の典型的な例で、神殿の周りには、役所や宿泊施設、貴族用の邸宅、そして、オリンピック用の競技施設とパライストラまで存在していたということ。

登録基準(vi)
オリンピアでは、古代オリンピックが紀元前776年から4年に1度開催され、ギリシャ世界のすべての都市から人々が競い合って行われ、戦争中でも開催期間中は3ヶ月休戦するというシステムでした。これは古代ギリシャの人文主義思想を示すもので、19世紀にフランスのピエール・ド・クーベルタンによる平和の祭典としての近代オリンピックのアイデアへと繋がったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

オリンピアの考古遺跡は、紀元前4000年から紀元7世紀までの人類の定住を示し、ゼウス神殿はその後のギリシャ世界のドーリア式神殿のモデルとなり、その聖域に関しては古代ギリシャ世界の聖域の典型的な例が見られるという点で評価されています。そして、ここは古代オリンピックのための競技場や選手たちの施設まで見られ、この古代のオリンピックこそが近代オリンピックへの思想へと繋がっているというのがポイント。

ちなみに、ゼウス神殿には全長12mものゼウス像があったとされ、フィロンの世界七不思議の一つに数えられるもの。しかし、これは現存していないので、ほぼ伝説とされていますが、1958年にゼウス像の建造の際に使用されていたとされる工房が発見されたので、これにより本当に存在したという可能性が高まってきています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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