パレスチナの世界遺産「オリーブとワインの地パレスチナ-エルサレム地方南部バティールの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産 危機遺産2014年〜
登録基準(4), (5)
登録年2014年

エルサレムから南西7kmに位置するバティールの丘は、ウィディアンと呼ばれる農地の広がる渓谷で構成されていて、石積みで囲まれた段々畑が見られるのが特徴。そして、乾燥した土地はぶどうとオリーブが植えられていて、これらは地下水源から供給される水路のネットワークによって支えられている伝統的なシステムでもあります。

ここではオリーブとワインの地パレスチナ-エルサレム地方南部バティールの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バティールについて詳しくなること間違いなし!

目次

オリーブとワインの地パレスチナ-エルサレム地方南部バティールの文化的景観とは?

画像素材:shutterstock

バッティールの丘は、エルサレムの郊外にあり、ここは北のナブルスと南のヘブロンの間に位置する高地でもあります。ここはウィディアンと呼ばれる農場の広がる渓谷が連なっていて、段々畑が広がっているもの。乾燥した土地に野菜やぶどう、オリーブの木が植えられ、これらは地下水を利用した灌漑システムが採用されていて、集められた水はバッティールの村に住む家族間で平等に分配されています。これらは古代ローマの時代から2000年に渡って利用されているというのが特徴。

危機遺産(危機に晒されている世界遺産)

バティールは、グリーンラインと呼ばれるイスラエルとヨルダンの停戦ライン沿いにありました。2007年にバティールは、イスラエル西岸地区で計画されている分離壁のルートに含まれてしまい、灌漑システムも寸断するという危機的状況に。そこでパレスチナ政府は、この地を世界遺産委員会に推薦したものの、その価値は継続的な生活の痕跡が認められないと不登録勧告が出されてしまいました。

しかし、パレスチナ政府は登録への運動を続け、2014年の世界遺産委員会では通常の推薦手続きを経ずに登録される「緊急登録推薦」での推薦を提案し、最終的には賛成多数で登録され、同時に危機遺産として登録。そういった背景もあり、イスラエルは「政治的なもの」として遺憾の意を表していてます。ちなみに、2012年に登録された「イエス生誕の地 : ベツレヘムにある聖誕教会と巡礼路」と同様に不登録勧告からの正式登録となっているもの。

オリーブとワインの地パレスチナ-エルサレム地方南部バティールの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

バティールが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
石積みの建築物は、水源近くの人類の居住地の発展と農業のための土地の開発を示す景観が見られ、登録エリアの周囲のバッティール村は現在も農民たちが暮らし続け、この灌漑システムは少なくとも1000年以上に渡って使用されてきたことを証明するもの。この灌漑による棚田の伝統的システムは、住人の専門的知識の優れた例であり、文化的景観における不可欠な部分を構成しているという点。

登録基準(v)
バッティールの土地と湧き水の利用は、人々がこの地域で定住し、険しい土地を耕作地として適応させていたという点で、何世紀にも渡って人間と環境の相互作用が見られる伝統的な土地利用の傑出した例です。この風景を作り出すために使用された農業慣行は、人類において最も古い農法を反映したもので、共同体においては生計のためには重要な存在であったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

バッティールは、現在でも古来から続く伝統的な灌漑システムを利用し、段々畑で農業が続けられていて、その文化的景観が見られます。これは人間と環境の相互作用が見られ、その農村における慣行も重要なものであるという点で評価されています。

ちなみに、渓谷沿いはイスラエル鉄道のテルアビブ=エルサレム線の路線になっていて、現在でも渓谷沿いを車両が通るということで鉄道ファンにも人気。さらにこのあたりは停戦ラインだけでなく、ユダヤ系とイスラム系の居住区の境目にもなっているので、非常に複雑なエリアなのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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