パレスチナの世界遺産「イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)と巡礼路」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産、危機遺産(2012〜2019年)
登録基準(4),(6)
登録年2012年

エルサレムから南へ10km。この地はイエス・キリストが生まれた土地と特定された後、4世紀に教会が作られました。現在の聖誕教会は6世紀に建てられたもの。世界遺産に登録されているのは、聖誕教会単体だけではなく、周囲の修道院や教会、巡礼路なども含まれます。

ここでは、イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ベツレヘムについて詳しくなること間違いなし!

目次

イエス生誕の地 : ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路とは?

イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)と巡礼路
画像素材:shutterstock

ベツレヘムはエルサレムから南に10kmほどの距離にある、丘陵地帯に位置します。2世紀以降、この地にある洞窟はイエス・キリストが生誕した場所として信仰を集めるようになり、4世紀には洞窟を囲むように教会が建てられました。しかし、6世紀には火災に遭い、ユスティニアヌス1世によって現在の教会の姿になりました。オリジナルの教会は床のモザイクのみ現存しています。

その後、さまざまな宗派によって、聖誕教会は増改築を繰り返していき、現在はギリシャ正教会、アルメニア使徒教会、聖地信託事業によって管理されています。ローマ・カトリックの教会も隣接しており、12月25日のクリスマスには、テレビにてミサが生放送されます。ちなみに、降誕日の日付は宗派によっては1月6日だったり7日だったりするので、同じ日付に全教徒が祝うということはないのです。

聖誕教会だけではなく、教会の周囲に建設されたフランシスコ会・アルメニア使徒教会・ギリシア正教会の修道院も登録されています。そして、ベツレヘムはエレサレムに次ぐキリスト教の聖地であり、現在は巡礼地として多くの人々が訪れます。ヨセフとマリアが辿った道など、エルサレムからベツレヘムへ続く道は巡礼路としても有名。

危機遺産として登録された理由

イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)と巡礼路
画像素材:shutterstock

そもそも聖誕教会は、2011年にユネスコに加盟したばかりのパレスチナによって申請され、「危険にさらされている世界遺産(危機遺産)」としてすぐに世界遺産リストに登録されたのです。しかし、アメリカやイスラエルからも反発があり、調査の結果、見送りなども勧告され、登録は難しいとされましたが、結局2012年の世界遺産委員会で登録されることになりました。

パレスチナ初の世界遺産とはなったものの、結果的にアメリカはユネスコの分担金を停止したため、世界遺産基金の財源は大幅に減るという事態に。ちなみに、2019年の世界遺産委員会において、危機遺産リストからは外されました。

イエス生誕の地 : ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)と巡礼路
画像素材:shutterstock

ベツレヘムが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
生誕教会は、キリスト教の歴史において初期に建造された教会建築の例となったこと。

登録基準(vi)
生誕教会とその巡礼路は、世界から集まるキリスト教徒によって何度も修復・増築されるほどに崇拝されている聖地。キリスト教徒だけでなくイスラム教徒にとっても信仰を集める土地ということ。

世界遺産マニアの結論と感想

仏教徒が圧倒的に多い日本でもクリスマスはイベントとして有名なので、ベツレヘムにてイエス・キリストが生まれたというのは誰もがなんとなく知っていますね。実際に、ベツレヘムはイエス生誕の地として、4世紀には既に聖地としての扱いを受けていて、洞窟を囲うように作られた教会は再建、その後、何度も修復され、キリスト教初期の教会建築として貴重なものです。そして、巡礼地として現在も世界中のキリスト教徒が集まるということも評価のポイント。

とはいえ、登録においては、イスラエルとパレスチナの政治的な問題も発生していて、遺産としての客観的な評価がきちんとされているかどうかは少し揺らいだところ。

細かいところを言うと、史実の「ナザレのイエス」は、イスラエル北部のガリラヤ地方にあるナザレが故郷だったので、なぜにベツレヘムが「生誕の地」となったのかは実際のところ謎なのです…。しかし、聖書にもベツレヘムと書かれているし、人々の信仰によって「生誕の地」が崇拝されているということは紛れもない事実。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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