登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4) |
登録年 | 2000年 |
ウェールズ南東部にあるブレナヴォンは、19世紀に世界でも有数の鉄鉱石と石炭の産地でした。現在は閉山しましたが、ここには当時建造された炭鉱跡や製鉄所跡、今でも現役の保存鉄道などが見られます。
ここではブレナヴォンの産業景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ブレナヴォンについて詳しくなること間違いなし!
ブレナヴォンの産業景観とは?
ウェールズの南東部トルヴァエンにあるブレナヴォンは、渓谷沿いに広がる元鉱山町。ここは古代ローマ時代から鉄が作られていたとされ、18世紀後半から19世紀初頭まで鉄鉱石と石炭の主要産地となり、最盛期は66万tもの鋳造量を出すほどでイギリスの産業革命を支える存在でもありました。
ブレナヴォンには製鉄所や炭鉱が築かれ、労働者の邸宅、鉄道、運河など、初期の産業都市の景観が今でも保存されています。ここは鉄の製造に必要な原材料がどのようにして得られるかが見られ、それを都市へと運ぶための鉄道や運河などの輸送システムの設立へと繋がったものとして、現在は文化的景観として登録。
ブレナヴォン製鉄所は1789年頃に開業。ここには18世紀後半に築かれた溶鉱炉路跡もあり、これはイギリスで現在保存されている中でも最も古い製鉄所でもあります。
ビックピット炭鉱跡は、1980年に炭鉱が閉山した後、現在は体験型の博物館「ビッグ・ピット国立石炭博物館」となっています。ここは深層炭鉱となっていて、地下へ移動するためのエレベーターなど、閉山された時と同じように保護されているもの。
そして、ブレナヴォンは鉄鉱石と石炭で大いに繁栄したため、人口は最盛期には2万人近くにもなりました。しかし、1980年に炭鉱が閉鎖すると街は衰退。その結果、教会や宴会場、学校なども含めて保存されていて、世界でも最初期の産業都市の発展を示しているという点で評価されました。
ブレナヴォンの産業景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ブレナヴォンが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ブレナヴォンの産業景観は、19世紀の産業都市の構造をそのまま残しているという点。
登録基準(iv)
ブレナヴォンの産業景観は、炭鉱跡や製鉄所跡など、19世紀の産業で栄えた都市景観をほぼ完全な状態で保存されているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ブレナヴォンの産業景観は、産業革命を支えるほどの産業都市となっていて、イギリスの中でも製鉄所跡や炭鉱跡、都市の構造など、当時の様子が分かるほどに保存されているという点で評価されています。
労働者が多かったブレナヴォンは、仕事で疲れた作業員の喉を潤すために多くのブルワリーが存在したのですが、町の衰退とともにすべて閉鎖。しかし、リムニーブルワリーという1838年に開業し、1978年に閉鎖したビール会社が2004年に復活。現在は南ウェールズ最大のブルワリーとなっています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。