登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(3) |
登録年 | 1997年 |
イタリア北東部にあるパトヴァには、世界で2番目に古い大学・パドヴァ大学があることで知られます。大学には建設当初から存在する植物園としては世界最古である「パドヴァ植物園」が1545年に築かれ、イタリアで初めてじゃがいもやヒマワリなど植えられたことでも有名。ここでは長期に渡って植物学や薬学、生態学の研究が行われてきたという点で評価されています。
ここではパドヴァの植物園(オルト・ボタニコ)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パドヴァの植物園について詳しくなること間違いなし!
パドヴァの植物園(オルト・ボタニコ)とは?
パドヴァは、イタリア北東部、ヴェネト州の内陸にある都市で、ヴェネツィアから西へ約30kmの位置にあります。パドヴァ大学は1222年に創立した大学で、世界でも2番目に古く、医学や自然科学の分野で知られ、ガリレオやダンテなどが教授として努めたことがあるほどに名門。1545年に大学付随の植物園としてパドヴァ植物園が設立されました。設計は建築家のアンドレア・モロニが担当。
敷地内は、建設当初と同様に円形の庭園が基盤で4つのエリアで分けられていて、後の時代に柱や欄干が加えられました。ここには5万冊以上の蔵書を誇る図書館があり、イタリアで2番目に広い植物標本館があることで知られます。植物園ではイタリアで初めてジャガイモやヒマワリの栽培が行われこともあり、現在は6000種類を超える植物が植えられ、特に植物学や薬学、生態学、医学などの発展に大きく貢献してきました。
ちなみに、園内に植えられたヤシの木は、ドイツの詩人ゲーテが18世紀にここを訪れた際に、ヤシの木を見て独自の自然感を得たと伝えられていて、現在は「ゲーテのヤシ」と呼ばれています。
パドヴァの植物園(オルト・ボタニコ)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
パドヴァの植物園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
パドヴァの植物園は、イタリアだけでなく、ヨーロッパ各地の庭園のモデルともなっていて、植物や薬草などの研究者のネットワークの中心となり、各地から運ばれてきた植物の保存にも貢献してきたということ。
登録基準(iii)
パドヴァの植物園は、5世紀以上に渡って絶え間なく研究が続けられ、科学と文化において貢献。多くの著名な植物学者が植物園の園長となり、彼らの科学的功績にちなんで名付けられた新種の植物もあるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
パドヴァの植物園は、ヨーロッパ各地で設立された庭園や植物園のモデルともなっていて、各地の植物が送られ、保護されてきたという点で評価。そして、ここは研究機関であり、新種の植物はここで園長を担当した人物の名前にちなんだものもあるというのがポイント。
ちなみに、イタリアのピサにあるピサ大学の植物園は1544年に開園とパドヴァよりも古い植物園。しかし、1563年と1591年に移転となったため、歴史的にはこちらのほうが古いのですが、「建設当初から存在している植物園」としてはパドヴァのほうが古いのです。…ややこしいですが。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。