アイルランドの世界遺産「ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷の遺跡群」とは?ニューグレンジも含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (3), (4)
登録年1993年

アイルランドの北東部にあるボイン渓谷には、ニューグレンジ、ノウス、ダウスといった3つの大型石室墓を含む多くの墓地が残っています。これらは約3000年前の新石器時代に建造された古墳で、まだまだ謎に満ちているもの。

ここではブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷の遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷の遺跡群について詳しくなること間違いなし!

目次

ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷とは?ニューグレンジは含まれる?

首都ダブリンから北へ約40km。ボイン渓谷には、アイルランド北東部にあるボイン川が曲がった箇所には先史時代の遺跡があります。ここにはニューグレンジ、ノウス、ダウスといった3つの大型石室墓があり、さらに40もの羨道墳(天井が低く狭い通路の墓)を持つ、アイルランド最大級の先史時代の遺跡。

登録されている主な構成遺産

ニューグレンジ

ニューグレンジ
画像素材:shutterstock

アイルランドでも有名な先史時代の遺跡であり、紀元前3100年〜紀元前2900年に建設したと考えられている大型石室墓。ここは大きな塚になっていて、幅は76mで高さは12m。中央には長い通路が延びていて、奥には十字架状になっている部屋があります。

ニューグレンジ
画像素材:shutterstock

夏至の朝、日の出の際に太陽光が通路に差し込み、全体を照らすという構造になっていて、これを建造した人々は天文学の知識を持っていたとされています。そして、塚の入口には巨石が横たわっていて、これらには渦巻状の模様が刻まれています。この模様は後のケルト人の文化にも影響を与えたもの。

十字架状の部屋からは人骨の一部が発見されているため、これは墳墓とはされていますが、周囲にはストーンサークルがあったと想定され、暦の測定や天文学において何かしらの役割もあったと考える説もあります。

ノウス

ノウス
画像素材:shutterstock

ニューグレンジの隣にある、ボイン渓谷最大の羨道墳。東西にそれぞれ羨道があり、内部では繋がっておらず、それぞれの奥には石室があるというのが特徴。ここは200個の装飾された巨石が発見されていて、デザインは渦巻、ひし形などもあり、デザインは多種多様です。ニューグレンジと共通点が見られるものの、ここは春分の日になると通路に光が差し込むようになっているのが特徴。

紀元前3200年前には既に存在したと考えられますが、その後は中世になると要塞にされ、キリスト教会や修道院にされた後、1939年までは農場となっていました。

ドウス

ドウス
画像素材:shutterstock

西側に位置する大型石室墓であり、紀元前3200年頃に建造されたとされ、3つの大型墳墓でも最も古いと考えられているもの。しかし、規模は最も小さく、観光客もあまり訪れません。長い羨道があり、石室はまぐさ石の構造になっています。ここもニューグレンジと同様に、冬至になると太陽光が羨道に差し込むように。

ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷
画像素材:shutterstock

ブルー・ナ・ボーニャ-ボイン渓谷が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
ボイン渓谷では、ヨーロッパでも最大級の巨石芸術が見られるという点。

登録基準(iii)
先史時代から中世後期まで、ずっとここは宗教施設であったとされ、その長い時間をかけて築かれた、ヨーロッパでも重要な遺跡の一つであるということ。

登録基準(iv)
羨道墳に残る芸術は、ヨーロッパの先史時代とそれ以降の文化に影響を与えたという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ヨーロッパでも最大級の先史時代の考古学遺跡であり、その後、中世末期まで聖地として利用され続けたというほどに重要な地であったという点で評価。そして、渦巻模様など、ここで確立した芸術はケルト文化に今でも影響を与えているという点もポイント。

ちなみに、ボイン川周辺は、ケルト神話でも有名な町が多く残っていて、タラの丘と呼ばれる場所は古代の首都だった場所で、なんとこれは5000年以上前に建造された部分もあったというほどに古い聖地だったとか。王の即位で使用されたとする立石は現在でも見られます。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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