オーストラリアの世界遺産「バッジ・ビムの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (5)
登録年2019年

オーストラリア南東部にあるバッジ・ビムは、古くから住むグンディッジマラ族が開拓した世界で最古の水産養殖地を含む3つのエリアで構成。ここは3万2000年前から利用され、水路、堰、ダムなど、ウナギを捕まえるための設備が並びます。これらは6000年に渡って彼らの経済基盤を支えてきたという文化的景観が見られるという点で評価。

ここではバッジ・ビムの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バッジ・ビムについて詳しくなること間違いなし!

目次

バッジ・ビムの文化的景観とは?

バッジ・ビムの文化的景観
画像素材:shutterstock

オーストラリア南東部のビクトリア州に広がる約100平方kmもの敷地を誇るバッジ・ビムは、死火山によって形成された地形。ここは先住民グンディッジマラ族が古くから住む場所で、少なくとも3万2000年前から利用されている世界最古の水産養殖池があります。世界遺産としては3つのエリアで構成され、これらは水路と湿地において、意図的に川の流れを方向転換してウナギを管理するというもの。

アボリジニのグンディッジマラ族は、6600年以上に渡って、石造りの円形住居を造って生活しつつ、火山岩を利用して水路、堰、ダムを建設し、ヒレの短いウナギ(オーストラリアウナギ)の罠を作って捕獲し、貯蔵してきました。これにより彼らは経済と社会的基盤を築きくことができたのです。アボリジニは一般的には遊牧生活をして暮らしていますが、口頭のよる伝承と文化を通じてその知識は今でも維持されていて、ここには文化的景観が広がっているという点で評価。

バッジ・ビムの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

バッジ・ビムの文化的景観
画像素材:shutterstock

バッジ・ビムが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
バッジ・ビムの文化的景観は、グンディッジマラ族の文化的伝統や知識、風習などを示し、その水産物の養殖を目的とした歴史あるネットワークは、かつてこの地でウナギ漁をしていたことを示すもの。この漁の知識は長老などによって受け継がれ、湿地帯全体で水産養殖が残り、さらには物語やダンス、織物などを含み、何世代にも渡って維持されてきたという点。

登録基準(v)
バッジ・ビムの文化的景観は、人間と環境の相互作用を示しています。ここにはグンディッジマラ族の生活の跡が見られ、彼らは湿地の中に水の流れを操作するというシステムを造り、それを維持し続け、ウナギを捕獲・貯蔵を行っていたもの。このシステムにより、水路、堰、ダム、池、穴などが相互で接続され、ここでは溶岩と水流、ウナギのライフサイクルが見られ、自然環境を意図的に維持・管理するという生態学と文化の密接な関係を示しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

バッジ・ビムは、分かりづらい世界遺産ではありますが…この地には古くからグンディッジマラ族が住み、彼らにとってはウナギを捕まえることは生活基盤であり、水路や堰、ダムなどを作ってウナギを捕獲・貯蔵するという技術が磨かれていてきました。このは人間と環境の相互作用が見られ、独自の文化と密接な関係を示すという点で評価されています。

ちなみに、オーストリアに住むアボリジニは古来より飲酒の習慣がないという民族で、遺伝的にもアルコール耐性が低い人が圧倒的で、アルコール分解酵素が全くないという人もいるほど。つまり、少しお酒を飲むだけで泥酔しやすいという人の割合は高め。よってアボリジニの居住区では、アルコール飲料を持ち込むのはオーストラリアの法律で禁止されているので、お土産に日本酒とか持っていくのはご法度。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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