登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4), (6) |
登録年 | 2015年 |
フランス北東のシャンパーニュ地方はスパークリングワインである「シャンパン」の産地。ここでは17世紀初頭から19世紀の産業化の時代にワインの製造法が発展しました。オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの歴史的丘陵地、ランスのサン=ニケーズの丘、エペルネーのシャンパーニュ大通りなどの3つの構成資産が登録され、ここはメゾン(醸造所)とカーヴ(貯蔵庫)を含む、シャンパンに関連する景観が広がっています。
ここではシャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シャンパーニュの丘陵について詳しくなること間違いなし!
シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴとは?
フランス北東部の地下は白亜が広がる土地で、ローマ時代は洞窟などが掘られ、中世になると修道院が建造されました。すでにワインはローマ時代から存在していましたが、17世紀になると修道士ドン・ペリニヨンが発泡性の白ワインである「シャンパン」を開発。17世紀初頭から19世紀の産業化の時代に、ボトルの中で二次発泡をするという製造法が発展していきました。
19世紀には、ヴーヴ・クリコとマダム・ポメリーという2人の未亡人によって、シャンパンという名はフランスだけでなく、世界中に拡大。このワイン産業により、シャンパーニュ地方は機能的な都市や農場、権威のある建築物、地下の貯蔵庫などの要素を含んだ文化的景観が今でも広がっています。
オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの歴史的丘陵地
シャンパーニュ地方の中心都市であるランスから南西に位置する町・エペルネー間にはブドウ畑が広がっています。ここは4つのカーブ(貯蔵庫)が含まれていて、白亜質の土壌は水はけも良く、ワイン造りに適した地。オーヴィレールの修道院はドン・ペリニヨン修道士ゆかりの地でもあります。
ランスのサン=ニケーズの丘
世界遺産にも登録されているランスのサン=レミ聖堂近くにあるサン=ニケーズの丘は、メゾン(醸造所)が集中し、地下にはカーブも複数ある場所。ヴーヴ・クリコとマダム・ポメリーのメゾンがあったのがこの地で、現在でも残されています。
エペルネーのシャンパーニュ大通り
エペルネーはメゾンが多く存在する町で、シャンパーニュ大通りはシャンパンの出荷量が世界一であるメゾン、モエ・エ・シャンドンがあることで有名。他にも「フォール・シャブロル」と呼ばれる、1900年に造られたモエ・エ・シャンドンの施設があり、ここはブドウの接ぎ木技術の研究や教育に利用されてきました。
シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シャンパーニュの丘陵が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
シャンパーニュは何世代にも渡って磨かれた知識、専門家たちの組織、ワインの分類法の保護、女性が参加したという文化と社会の発展が見られる地。ボトルでの二次発酵をするというワインの製造法など、ここで発展したブドウ畑とワイン製造を含め、シャンパーニュのワイン製造者は英国とドイツの技術や起業ノウハウの提供によって利益を得るようになり、ワイン製造者と農家たちによる今日に繋がる先駆的な産業の発展へと繋がっていったという点。
登録基準(iv)
シャンパンの生産は何世紀にも渡ってワインの栽培と製造の遺産として、その供給地であるブドウ畑、ワインの醸造所・販売所が登録されています。瓶内で二次発酵を基本とする製造には無数のカーブが必要で、これらはローマ時代や中世の採石場を利用し、ワインセラーが多く増設されることで、独特の地下景観が見られるようになりました。18世紀以降は世界中に輸出するために機能的な都市計画が生まれ、ワインの生産と販売エリアが設立。これらは郊外のブドウ畑と輸送ルートで繋がっていたということ。
登録基準(vi)
シャンパンは、フランスでは日常生活でのお祝い事、お祭り、スポーツでの勝利などのシンボルとして飲むというイメージを持っていて、これらは文学、絵画、ポスター、音楽、映画、写真、マンガでも多く登場し、一般化しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
シャンパンというと、世界的に有名な高級スパークリングワインであり、ワイン畑、醸造所、ワインセラーなど、これらの遺産はこの地で現在のシャンパンへと繋がる技法が開発され、発展したことを証明する文化的景観であるという点で評価されています。
ちなみに、ドン・ペリニヨンはヴィンテージ・シャンパンであることから値段は高く、バブル期は「ドンペリ」という愛称でキャバクラやホストクラブでオーダーされるというイメージがあったことで有名に。ちなみに、ロゼワインベースのシャンパンは「ピンドン」と呼ばれていて、ピンク色であることから「ピンクドンペリ」と略したそう。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。