イランの世界遺産「メイマンドの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

  • URLをコピーしました!
登録区分文化遺産
登録基準(5)
登録年2015年

メイマンド村は、イランでも中央部にある渓谷の外れに位置する半乾燥地帯にあります。村人は春から秋にかけて山の集落で放牧をしながら暮らし、冬になると渓谷にある洞窟住居に住むという珍しい習慣があることで有名。ここは家畜ではなく、人間そのものが移動するという独自の生活様式が現在でも続いているという文化的景観が見られます。

ここではメイマンドの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、メイマンドについて詳しくなること間違いなし!

目次

メイマンドの文化的景観とは?

メイマンドの文化的景観
画像素材:shutterstock

イラン南東部のケルマーン州に位置するメイマンド村は、イラン高原に広がるザクロス山脈の南端にある渓谷にある36の村々が点在するエリア。ここに住む人々は春から秋にかけては放牧をしながら暮らし、冬になると山を降りて軟岩(カルマール)を掘って作られた洞窟住居で暮らします。ここは家畜ではなく、人間そのものが移動するという点が非常にユニーク。周囲は乾燥地帯のため、川や泉などから貯水池を作ったり、農業をするためにカナート(地下水路)などを活用していました。

ここに住明は3つの集落(伝統的には4つ存在)を行き来して暮らしているのが特徴。冬から春まで暮らす草原の集落は、石の壁とアザミの屋根を覆われた円形の家屋や、レンガと石で構成される屋根が置かれた牛舎などがあります。夏と初秋に暮らす集落は、川の近くにあり、石の壁に草葺きで覆われた木造の屋根で支えられた簡易的な住居を利用し、ここでは小麦や大麦を栽培していて、水車小屋跡などが現存。冬になると、人々は軟岩を削って作られた洞窟住居に移り、現在は400もの家々が残されていて、各家にはいくつも部屋があり、住宅というだけでく、倉庫としての役割もありました。

メイマンドの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

メイマンドの文化的景観
画像素材:shutterstock

メイマンドが評価されたのが、以下の点。

登録基準(v)
メイマンドの文化的景観は、渓谷沿いの自給自足の集落が今でも見られ、乾燥地域には珍しい洞窟住居がある3つもの集落があり、動物でなく人間が移動しながら定住するという独特の生活様式が今でも存在するという点。

世界遺産マニアの結論と感想

メイマンド村には、季節によって住む場所が変わるという3つもの集落が現在でも見られ、ここは動物が移動するのではなく、人間が家を移動して暮らすという珍しい生活様式。これらは今でも生き続ける文化的景観であるという点で評価されています。

ちなみに、洞窟住居は400も残っていますが、今でも利用されているのは100程度で、他は遺構となっていて、現在は600人程度しか暮らしておらず、その存続危ぶまれています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

目次