イギリスの世界遺産「ダーウェント峡谷の工場群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2001年

イングランド中部にあるダーウェント峡谷沿いには18世後半〜19世紀に建造された紡績工場が並んでいます。特にクロムフォードの工場はリチャード・アークライト(1732〜1792年)が発明した、世界初の水力紡績機を導入していて、工場群の発展により近代的な工場制度が始まり、その後の世界各地の工業都市のモデルとなったもの。

ここではダーウェント峡谷の工場群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ダーウェント峡谷の工場群について詳しくなること間違いなし!

目次

ダーウェント峡谷の工場群とは?

ベルパー/ダーウェント峡谷の工場群
画像素材:shutterstock

イングランド中部にあるダービーシャー州にあるダーウェント峡谷には、北はマトロック・バスから南は州都ダービーに至る約24kmの範囲に18世紀後半〜19世紀までに建造された紡績工場が並ぶ産業景観が広がっています。1721年にダービーに本格的な紡績工場が開業し、渓谷北部のクロムフォードにリチャード・アークライトによる水力紡績機の工場が建造されてから多くの工場が渓谷沿いに作られていきました。

ここは田園風景に工場が作られ、周囲は労働者のための住宅が必要となり、村々は工場を中心とした産業景観が見られるようになりました。北からクロムフォード、ベルパー、ミルフォード、ダーリー・アベイなど、かつての産業景観が今でも現存。ここは世界中の工業都市のモデルとなっています。

クロムフォード・ミル

クロムフォード・ミル/ダーウェント峡谷の工場群
画像素材:shutterstock

構成遺産の中でも北部に位置する都市。ミルとは近代的な工場のことを示すもので、ここはランカシャー出身のリチャード・アークライトによって1772年に発明された水車を使った水力紡績機を備えた工場でした。そして、彼は規模を拡大するために、労働者のための住居やパブを建設して、マーケットや教会、学校がある工業都市へと発展したもの。現在の工場跡はレストランやショップなどが併設されたビジターセンターとなっています。

ダーウェント峡谷の工場群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

マッソン・ミル/ダーウェント峡谷の工場群
画像素材:shutterstock

ダーウェント峡谷の工場群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ダーウェント峡谷の工場群は、18世紀後半にリチャード・アークライトによって建造された新しいタイプの工場と周辺施設が建造され、渓谷沿いに近代的な工業都市が誕生したという点。

登録基準(iv)
ダーウェント峡谷の工場群は、それまで小規模な農村が続くエリアに工場が作られることで、労働者と管理者が住む邸宅や周辺設備が築かれ、近代的な産業都市が生まれたということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ダーウェント峡谷では、リチャード・アークライトのクロムフォード・ミルが作られたことで、新たな工業都市が多く建造され、産業革命時代の建築物が今でも残っているという点で評価されています。

ちなみに、アークライトは発明家としても有名ですが、実は効率的な労働制度を思いついた人物としても優れていて、1日交代制を導入したりと、工場は18世紀の時点でかなり効率的な運営がされていました。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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