バーレーンの世界遺産「ディルムンの墳墓群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (4)
登録年2019年

バーレーン島西部に点在する21の遺跡には、かつて交易で発展したディルムン文明が築いた墳墓が点在しています。島内には1万を超える墳墓が確認され、17もの王家の墳丘も見られるもの。これらは紀元前2000年に交易で繁栄したディムルン文明のユニークな埋葬の伝統を示しています。

ここではディルムンの墳墓群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ディルムンの墳墓群について詳しくなること間違いなし!

目次

ディルムンの墳墓群とは?

ディルムンの墳墓群
画像素材:shutterstock

ディルムンとは、かつてメソポタミア文明とインダス文明と取引した文明で、正確な位置は分かっていませんが、西からサウジアラビア東部、バーレーン、カタール、オマーン、ペルシャ湾のイラン沿岸部にはディルムンに関連する遺跡が残っています。特にバーレーン島西部には21箇所のディムルンに関連する考古学遺跡が点在し、なんと1万を超える墳墓が発見され、現在は世界遺産となっています。ほとんどが西部に位置するアアリ村で発掘されたもの。

これらの遺跡は紀元前23〜18世紀にかけて建造されたとされ、初期から後期のディルムン文明の代表的な建造物が見られ、墳墓は紀元前2000年頃の初期のディルムン文明の繁栄を示すもの。特にこの時期は交易の中継地で栄え、人口も増加し、より多様化した社会がもたらされ、遺跡から発掘された墳墓群にもそれがよく反映されています。

墳墓は現在は小高い丘のようになっていますが、もともとは円筒系の塔であり、中には2階建てのピラミッドのような塔も存在していました。埋葬室はアルコーブ(床の間のように小さな窪みのある空間)などが配されているという点もユニーク。

ディルムンの墳墓群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ディルムンの墳墓群
画像素材:shutterstock

ディルムンの墳墓群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ディルムンの墳墓は、初期のディルムン文明が450年に渡って発展したユニークな埋葬文化が見られ、かつて暮らしていた住民たちの埋葬の伝統だけでなく、それらからは年齢や性別、社会階級などが明らかになり、支配者階級の発展を示す重要な証拠でもあるという点。

登録基準(iv)
墳墓からは初期ディルムン文明の発展が反映されていて、円筒形の塔として建設され、中には2階建てのものも存在していました。埋葬室はアルコーブの構造があり、墓によっては副葬品で満たされていたりと、これらは社会的な地位に応じて変化するなど、社会階級の出現についても分かるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ディルムンはまだまだ謎が多い文明ではありますが、これらの墳墓からは彼らのユニークな埋葬文化が分かるようになっていて、地位に応じて変化するというのが特徴。ここから当時島に住んでいた人々の暮らしが分かるという点で貴重な資料となっています。

実はディルムンという言葉は、紀元前4000年代にシュメール(古代メソポタミア最初期の王朝)の頃からその存在が確認できるほどに古いもの。古代メポタミア最大の叙事詩である「ギルガメシュ叙事詩」にも登場し、ここは天地創造の場所で、エデンの園のモデルともされていると考えている学者もいます。…その割に世界史的に知名度は低いですが、これから大発見が続くと良いですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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