登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4), (6) |
登録年 | 1986年 |
スコットランドとの国境近く、ダラム大聖堂は11世紀後半〜12世紀初頭にかけて建設されました。イギリスで最大規模のノルマン建築で、アーチ天井の走りであるゴシック様式も含まれた建造物でもあるのが特徴。近くにあるダラム城は、ノルマン朝時代の要塞をダラム司教の邸宅に作り変えたもので、現在は大学の学生寮になっています。
ここでは、ダラム城と大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ダラム城とダラム大聖堂について詳しくなること間違いなし!
ダラム城と大聖堂とは?
ダラムは、イングランド北東部に位置し、スコットランドとの国教近くにある街。大聖堂と城は、ウェア川に沿って形成された小高い丘の上にあります。街は10世紀に近くにあるリンディスファーン島で活動していた、聖カスバートを崇める共同体がバイキングの襲撃に遭い、彼らを恐れてこの地に移り住んだことが起源。
その後、ダラム司教は宗教的指導者であると同時に、政治的な指導もする領主司教となり、大聖堂と城を中心に1000年近くこの地を治めてきました。
ダラム大聖堂
高さ66mの2つの塔を持つダラムのシンボル的存在。1093年の創建で、15世紀に現在の形になりました。大聖堂は、ノルマン朝の創始者ウィリアム1世の命により建設されたダラム城の敷地内にあったもので、聖カスバートと聖オズワルド、聖ベーダという聖人の遺体を収容する目的で建造。
ノルマン・ロマネスク様式の建造物で、アーチ天井を対角線上に交差させて支えるリヴ・ヴォールトという特殊な造りになっていることから、ゴシック様式の要素も入っています。
ダラム城
11世紀にウィリアム1世がスコットランドとの最前線の基地として建造したもの。ダラムに大聖堂が造られると、ダラム司教は政治的な指導者の役割も兼任して、城はダラム司教の邸宅となりました。14世紀初頭に作られた大広間は、かつて英国一の広さを誇り、今でも長さ30m、高さは14mもある大広間になっています。
1840年より城全域はダラム大学の学生寮となり、要塞部分を寮に改装。敷地内にはノルマン様式の礼拝堂など、11世紀当時の姿を残す建造物もあります。
ダラム城と大聖堂はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ダラム城とダラム大聖堂が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
大聖堂は、イギリス最大規模で壮麗なノルマン建築であるという点。
登録基準(iv)
大聖堂は、アーチ天井を対角線上に交差させて支えるリヴ・ヴォールトなど、革新的な建築様式も見られ、実験的な建造物であったということ。
登録基準(vi)
ダラムは、周辺のキリスト教の伝道と修道生活を結びつけた場所であったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ダラムは司教によって統治されていたという珍しい自治体で、司教はこれだけ大きな大聖堂がずっと維持できるだけの地位と財力があったということを物語ります。そして、ノルマン建築としての規模も大きいのも素晴らしいですが、その後の英国でよく見られるリヴ・ヴォールトを早い時期に採用したという点も評価のポイント。
ちなみに、大聖堂は『ハリー・ポッター』シリーズのロケ地としても登場しており、聖堂内は魔法学校っぽさが全面に出ているので、ファンなら必ず訪れてほしいところ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。