登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 1995年 |
スコットランドのエディンバラは、15世紀から首都となり、エディンバラ城など、中世の建築物が並ぶ旧市街と18世紀以降に計画的に造られた都市である新市街に分かれます。新旧さまざまな建築物が多く残る町並みは、スコットランドの歴史そのものを表すもの。
ここでは、エディンバラの旧市街と新市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エディンバラについて詳しくなること間違いなし!
エディンバラの旧市街と新市街とは?スコットランドの首都として繁栄
スコットランドの首都であるエディンバラは、中石器時代から人が住んでいましたが、街の起源としては7世紀から。14〜15世紀頃にはスコットランド王国の首都となりました。その頃に築かれたのが現在の旧市街。18世紀になり、ヨーロッパで新古典主義様式の建築物が流行すると、新市街には新古典主義様式の壮麗な建物が多く建設されています。
旧市街
エディンバラの南側に位置するのが旧市街で、エリアとしては小高い丘の上に築かれたエディンバラ城からロイヤルマイル(王宮通り)を下った先にあるホリールードハウス宮殿まで。ここには16〜17世紀の邸宅が多く、中世から現在までの各時代の建築物が並ぶ古き良きエリアで、景観を保護するために新しい建築物を建てることを禁止しているほど。
新市街
18〜19世紀にかけて旧市街の北側が開発されると、ここが現在の新市街と呼ばれるエリアになりました。新市街の設計を担当したのが、ジェームズ・クレイグという当時は無名の建築家で、区画整理された美しい町並みが並びます。特にこの時代はギリシャやローマなどの建築様式を取り入れた新古典主義様式が流行していて、新市街には新古典様式の一つであるジョージアン様式の建築物が並んでいます。
特に、ジョージアン様式の第一人者であるロバート・アダムスが設計したシャーロット広場には、美しい邸宅が残っており、新古典主義様式の傑作とされています。
登録されている主な構成資産
エディンバラ城
ここはキャッスル・ロックと呼ばれる小高い岩山に建つ城。もともとは7世紀ころから要塞が造られていたという説もありますが、現在見られる建物で最も古い部分は12世紀のもので、ほとんどの建設物は16世紀以降に再建されました。現在は軍事博物館として使用されています。
「クラウン・ルーム」には、かつてスコットランド王が戴冠する際に使用した「スクーンの石(運命の石)」があり、これは1996年にイングランドから返還されたもの。城で最も古い部分は、12世紀に建造された聖マーガレット教会堂で、これはスコットランド王のデイヴィッド1世が、母のマーガレット・オブ・スコットランドのために建造。
ホリールードハウス宮殿
ロイヤルマイルの東端にある英国王室が所有する宮殿。もともとは12世紀にホリールード寺院というスコットランド王室のゆかりの寺院が建設される地でした。15世紀には宮殿が建造されると、王宮として利用されるように。
17世紀にジェームズ6世がイングランドの王位を引き継ぐと王はここを居城とすることはなかったのですが、歴代のスコットランド王が改修と修復を重ね、英国女王のエリザベス2世も1年に1回は必ず滞在していました。
聖ジャイルズ大聖堂
ロイヤルマイル沿いにあるスコットランド国教会に所属する大聖堂。大聖堂の最古の部分は12世紀のものですが、現在見られる大聖堂は14世紀から建造されはじめ、16世紀までに拡張されたものがベース。19世紀にも増築されています。ここはスコットランドの歴史と密接に関わっていて、エディンバラにおけるキリスト教の中心地であるのは今でも変わりません。
ロイヤルマイル
エディンバラ城からホリールードハウス宮殿までを結ぶ全長1.81kmの通りの総称をロイヤルマイルと呼びます。しかし、実際にロイヤルマイルと呼ばれたのは、20世紀ころから。
旧市街で最も賑やかな通りで、東西に延びる通り沿いには、「クローズ」と呼ばれる路地が南北に延びています。その合間には古くから残る邸宅が並び、これらは今でも商店やレストランとして使用。
エディンバラの旧市街と新市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エディンバラが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
18〜19世紀に建造された新市街は、卓越した都市計画が見られ、後のヨーロッパの都市計画に大きく影響を与えたということ。
登録基準(iv)
エディンバラには中世に築かれた旧市街から近代的な計画都市である新市街が存在し、ヨーロッパの都市計画の歴史が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
エディンバラの中世からの建築物が多く残る旧市街そのものに価値はありますが、近代的な計画都市であった新市街が同じ街に存在し、街の拡大の歴史が見られるという点で評価されています。そして、新市街の都市計画はその後のヨーロッパの都市計画にも影響を与えているというのもポイント。
ロイヤルマイルの少し南にあるグレーフライアーズ教会にある墓地には、飼い主の墓の前でずっと付き添っていたという「グレーフライアーズ・ボビー」と呼ばれる犬がいたことで有名で、今ではスコットランド版忠犬ハチ公として市民に語りづがれるエピソードでもあります。ちなみに、グレーフライアーズ・ボビーの像はロイヤルマイルから少し離れますが、いつも人だかりができているので一発で分かるでしょう。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。