登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (3), (7), (9) |
登録年 | 2016年 |
チャドの北東部に位置するエネディ山地は、長年浸食された砂岩の山塊でもあります。アーチや尖塔のような奇岩が見られ、砂漠にありながら峡谷には水があり、動植物の生息が維持されてきました。この地では紀元前5000年代から岩絵が描かれ、これらはサハラ砂漠でも最大規模の壁画群の一つでもあります。
ここではエネディ山地の自然的・文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エネディ山地について詳しくなること間違いなし!
エネディ山地の自然的・文化的景観とは?
チャド北東部にある東エネディ州と西エネディ州にまたがる広大なエリアで、ここは標高1450mのエディ山地を中心とした遺産でもあります。
自然遺産
エネディ山地は、水や風に浸食された台地が広がっていて、アーチや尖塔、キノコ型の奇岩が続くエリアとなっています。降水量が少ないエリアではあるものの、「ゲルタ」と呼ばれる峡谷群は、一年中水位が維持できるエリアが存在。ここは周囲に生息する動植物の生態系を維持できるようになっていて、ニシアフリカワニのようにサハラ砂漠が緑で囲まれていた時代から生息しているという特殊な環境でもあります。
文化遺産
洞窟や峡谷の表面には、何千もの岩絵が残っていて、サハラ砂漠でも最大の壁画群の一つ。岩絵は3つの時期に分かれていて、アルカイック期(7000〜6000年前)、ボヴィディエンヌ期(5000〜2000年前)、カムリヌ期(2000年前〜現在)の3つに分けられて、ボヴィディエンヌ期のものにはウシや羊などの放牧されていて、カムリヌ期のものにはラクダや馬などが見られ、このエリアの気候の変化が分かるというもの。
エネディ山地の自然的・文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エネディ山地が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
登録基準(vii)
登録基準(ix)
エネディ山地は、水と風による浸食によって削れた崖やアート、尖塔などが広がる景観を持ち、深い峡谷では水が永続的に存在し、このエリアの生態系において重要な役割を果たし、動植物が生息し続けることができます。文化遺産としては、洞窟や峡谷の表面には岩絵が刻まれ、サハラでも最大級の岩絵群の一つであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
エネディ山地は、自然遺産としては、浸食された台地に奇岩が多く見られ、峡谷には湖のように水が貯まり、砂漠気候にも関わらず、ニシアフリカワニのような生態系が維持されていて、文化遺産としてはサハラでも最大級の岩絵群の一つであるという点で評価されています。
ちなみに、アフリカに生息するライオンは砂漠以外なら割といろいろな地域で生息していて、実は1940年代までライオンがこの地でも見られたのですが、それ以降発見されていないので、おそらく絶滅したと考えられています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。