登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
登録基準(暫定リストに記載) | (1), (3), (4), (5) |
申請年(暫定リストに記載) | 2017年 |
大西洋に浮かぶマデイラ島は、15世紀から人々が暮らし始め、その時代から建造されたのが「レヴァダス」と呼ばれる灌漑水路のネットワーク。これらは約800kmにも渡る歩道に隣接した用水路であり、現在も農業だけでなく、水力発電用のインフラとしても活躍しています。
ここではマデイラのレヴァダスがなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、レヴァダスについて詳しくなること間違いなし!
マデイラのレヴァダスとは?
マデイラ島は15世紀からポルトガル人が植民を開始し、古くはサトウキビ、現在はワインの生産で有名。レヴァダスとは、ポルトガル語で「levar(運ぶ)」から由来する言葉であり、島内には約800kmもの歩道に隣接した灌漑水路のネットワークが広がっています。ほとんどが山に隣接していて、さまざまな水源から水を運び、これらは農地へと配水したり、水力発電の動力源として利用されているもの。
初期のレヴァダスは、標高の低いエリアに玄武岩を積んで形成され、幅は1m未満、深さは50〜70cmほどの小さな用水路でした。16〜18世紀ころには標高300〜600mの位置に達するものの、中央の山脈までは越えることはありませんでした。
19世紀以降はレヴァダスの建設は国家事業となり、幅は1mを越え、深さは1m20cmにも達する水路も完成。20世紀後半になると、標高1000mから農地へと運ぶ近代的水路も建造され、島は水源の開発と切っても切れない関係でもありました。
マデイラのレヴァダスはどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
レヴァダスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
マデイラ島の地形を利用して建造された水路は、6世紀に渡ってマデイラの住民の努力によって島の自然に適応した努力が見られ、この壮大な建造物はポルトガルでも最も重要な文化遺産の一つであるという点。
登録基準(iii)
レヴァダスの建造は、15世紀のマデイラ島の入植とともに始まり、6世紀に渡って島の発展において重要な役割を果たしていて、人間と自然の調和のとれた関係を示すもの。これは島の人々にとって重要なもので、大西洋という環境で生き続けるために努力を続けた「生きた記念碑」であるということ。
登録基準(iv)
レヴァダスのネットワークは、各時代特有の技術が見られ、何世紀にも渡って変化してきたという点。
登録基準(v)
マデイラのレヴァダスは、水を集め、農業、生活用水、発電のために配するという前例のない取り組みであり、これにより島で人々の暮らしが可能となったもの。そして、レヴァダスは水路ではあるものの、農地や森林へ向かう歩道としての役割もあり、観光遺産として訪れる人の自然保護への意識向上にも貢献しているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
レヴァダスは、島民たちがこの地で暮らすために築かれたもので、農業や生活、発電のために造られたという前例のない記念碑であり、現在も歩道として利用されていることから、自然保護への意識向上にも貢献しているという点で評価されています。
ちなみに、マデイラ・ワインは現在は島の名産品となっていて、「酒精強化ワイン」というアルコール度数を高めたワイン。樽ごとに乾燥炉に入れた加熱処理してからブランデーを入れるという独特の味わい。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。