登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3) |
登録年 | 2003年 |
メキシコ中央高原・ケレタロ州のサンティアゴ・デ・ハルパンやタンコヨルなど、5つのフランシスコ会の伝道所は、18世紀中期に先住民をキリスト教徒へと改宗させるために建造された施設。ここは修道士と先住民によって建造されたために土着のレリーフの装飾が採用されたバロック様式で、周囲の建造物にもその特徴が見られます。
ここではケレタロ州シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群について詳しくなること間違いなし!
ケレタロ州シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群とは?
ケレタロ州の北東部にあるシエラ・ゴルダ地方の、5つのフランシスコ会の修道院が世界遺産に登録。カトリック教会の修道会の一つ、フランシスコ会は海を越え、18世紀に先住民の布教を目的として伝道所(ミッション)をこの地に建造。これらは修道士と先住民によって建造されたために、豪華なファサードなど、土着のモチーフの装飾が施された異文化融合のバロック建築でもあります。ここは伝道が進んでいなかった現在のアメリカ西部のアリゾナやテキサスへの伝道の拠点ともなりました。
シエラ・ゴルダは山がちの地形であり、伝道所は先住民を組織する用途としても利用されたもの。そして、伝道所は礼拝堂などがあることから宗教的中心地となり、周囲は集落が築かれていったことから、スペインの支配下における新しい都市計画のガイドラインにも組み込まれていました。
現在も当時の都市計画が残されていて、ハルパン・デ・セラ市のサンティアゴ・デ・ハルパンとヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・ルス・デ・タンコヨル、ランダ・デ・マタモロス市のサンタ・マリア・デル・アグア・デ・ランダとサン・フランシスコ・デル・バレ・ティラコ、アロヨ・セコ市のサン・ミゲル・コンカの伝道所を中心としたエリアが登録。
ケレタロ州シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
シエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所群は、メキシコ中部・北部、そして、アメリカ西部の伝道の過程における価値観の交流を示すものであるという点。
登録基準(iii)
5つのシエラ・ゴルダのフランシスコ会伝道所は、ヨーロッパの修道士とメキシコ中央部の先住民との文化的接触の証拠でもあり、北米における伝道の第2段階を示すものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
イタリア発の修道会であるフランシスコ会は、新大陸の布教が盛んで、シエラ・ゴルダの伝道所は18世紀になるとメキシコの中央部の山がちなエリアにも先住民への布教が行われていたという証拠でもありました。当時はここを拠点に現在のアメリカ合衆国の西部まで伝道が行われていたというフェーズであったということを示しているという点で評価されています。
ちなみに、テキサス州に残る「サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園」もフランシスコ会の伝道所も世界遺産に登録されています。当時のスペイン人は植民地を拡大する中で、こういった伝道所を利用して改宗を進めてスペイン語系の住民を増やすという壮大な計画があったのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。