フランス・ベルギーの世界遺産「第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3),(4),(6)
登録年2023年

第一次世界大戦(1914〜1918年)でも激戦地だったのは、ベルギー南部とフランスの北東部まで広がる「西部戦線」と呼ばれたエリア。ここは連合国とドイツ帝国との戦地であり、各地に墓や記念碑などが築かれていき、死者は平等に埋葬され、その追悼と記憶を今でも伝え続けています。

ここでは第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、第一次世界大戦の追悼と記憶の場について詳しくなること間違いなし!

目次

第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場とは?

第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場
画像素材:shutterstock

西部戦線とは、第一次世界大戦にて、連合国とドイツ帝国によって、ベルギー南部からフランス北東部にかけて戦線が置かれたことから名付けられたもの。ここでは塹壕が多く掘られ、何年にも渡って激戦が繰り広げられたことから死者が増大。その悲惨な戦いの後、戦線の範囲であった700km以上にも及ぶエリア各地に、数千の墓地や記念碑が建造され、それらはフランスには80箇所、ベルギーには25箇所と合計で105箇所も点在しています。

当初は仮墓地であった場所を戦後に整備した墓だけでなく、1930年代以降改めて築かれた集団墓地もあり、戦闘員だけでなく、民間人に対しても敬意を表する石碑や、犠牲者の名前だけ刻まれた記念碑なども作られました。ここは軍人や民間人、さらには民族や宗教も関係なく、死者に対する追悼を目的とした施設となっていて、戦争の非人道性を現代へと伝え続けているものです。

第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場
画像素材:shutterstock

第一次世界大戦の追悼と記憶の場が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
第一次世界大戦の追悼と記憶の場は、戦死者に対する新たな伝統と普及を示していて、彼らの遺骨は個人の墓に埋葬され、名前が刻まれる一方、身元不明の遺骨に関しては、納骨堂に納められています。そして、特定の墓がない人に対しては記念碑が造られ、アルファベットのリストで名前が刻まれていているという点。

登録基準(iv)
個人の墓や多数の軍人ための墓は、戦争で死亡したすべての人たちを追悼するために造られた建造物と敷地の例であり、これらはシンボル的な形状であり、戦争で亡くなった兵士の追悼と敬意を呼びかけるという、これまでの戦争と比べても新しいタイプの記念碑でもありました。これらはオープンな場所で築かれ、建築や造園、装飾など文化的感性も見られます。そして、一般的には主要な戦場の周囲に位置し、かつての戦争と直接関連しているということ。

登録基準(iv)
第一次世界大戦とは、損害と死亡者が前例のないレベルに達していて、若者が多く亡くなった社会において復興のために、戦争の犠牲者のアイデンティティを永続させたいという願いから、人類史上初めて犠牲者の死が平等に認められることになりました。これらの設備は人々の社会や文化、宗教を越えて、家族や恋人だけでなく、埋葬場所を提供し、国家は追悼行事などのイベントを通じて、戦没者の慰霊を行っています。そして、その後の世代の何百万もの訪問者が訪れることで、今日の平和と和解を称え、戦死者の追悼を促すものであるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

第一世界大戦の激戦地となった西部戦線はベルギーとフランスにまたがっていて、ここは連合国・ドイツ帝国ともに多数の死者が大量に出るほどに激しい戦地であったことから、個人が特定できる墓だけでなく、納骨堂や名前だけ刻まれた慰霊碑など、国籍や宗教は関係なく、平等に埋葬されたというそれまでにないタイプの埋葬地や記念碑が築かれました。現在でも多くの人がこの地を訪れ、戦没者の慰霊が行われ、今日の平和と和解を称えつつ、この戦争の悲惨さを我々に伝えているという点で評価されています。

ちなみに、西部戦線は第二次世界大戦にも発生し、ノルマンディ上陸作戦という大作戦が行われたことでも有名。こちらも2014年にフランス政府が「1944年のノルマンディ上陸作戦の海岸」として暫定リストにリストアップしているので、いつかは世界遺産になるかもしれませんね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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