登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(8),(9),(10) |
登録年 | 1981年 |
グレート・バリア・リーフは、オーストリア北東の海岸に2300km以上も広がる世界最大のサンゴ礁群。ここには、400種類のサンゴだけでなく、1500種もの魚類、4000種類の軟体動物などが生息し、絶滅危惧種であるアオウミガメなども見られるという海洋生物の楽園です。
ここでは、グレート・バリア・リーフがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グレート・バリア・リーフについて詳しくなること間違いなし!
グレート・バリア・リーフの場所は?
グレート・バリア・リーフは、オーストリア大陸の北東部に位置し、北はニューギニア島付近のトレス海峡から南のブリスベン付近まで約2300kmにも渡るサンゴ礁地帯で、世界最大のサンゴ礁群です。2900以上の暗礁群と約900の島で構成され、面積はなんと34万4400平方km。
この地でサンゴが形成されたのは、約2500万年前だとされています。そして、8000〜6000年前には現在見られるサンゴ礁が誕生したと考えられ、先住民族のアボリジニや島民たちは長くグレート・バリア・リーフと共生していました。ヨーロッパ人で初めて発見したのは18世紀後半。イギリスの探検家ジェイムズ・クックによりこの地が認知されました。本格的に調査されるのは20世紀に入ってから。1975年にグレートバリアリーフ海洋公園が作られ、現在は海洋公園として保護しています。
世界最大のサンゴ礁は魚類の天国!
グレート・バリア・リーフには、400種類のサンゴが生息。そもそもサンゴとは生物であって、ポリプというイソギンチャクのような刺胞動物の構造を持ち、骨格を発達させるものを「造礁サンゴ」といいます。それが集まってサンゴ礁を形成するのです。サンゴは死に絶えると石灰質が海に堆積し、やがて島を形成。こうしてグレート・バリア・リーフには、300ものサンゴ礁によって形成された島があるとされます。そして、鳥がこの地を中継地とすると、鳥の糞から植物の種が運ばれ、島は植物で覆われるように。またこのエリアには約240種の鳥が生息しています。
サンゴ礁には、多くの海洋生物が生息しますが、これはサンゴ礁が外敵から隠れるのに適した地であるのと同時、それを狙う生物も集まるというのも特徴。ここには1500種もの魚類、4000種類の軟体動物などが生息し、絶滅危惧種であるアオウミガメやジュゴンなども見られます。
ハート型のサンゴ礁がある?
オーストリア大陸の沿岸に浮かぶハミルトン島の近くには、ハート型のサンゴ礁・ハートリーフがあることで有名。奇跡的な地形であるだけにカップルで見ると幸せになるという謎の伝説が広まり、ハネムーンで訪れる人が多くなりました。ちなみに、ハートに見えるかどうかは角度によるので注意。
グレート・バリア・リーフはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
グレート・バリア・リーフが評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
宇宙から見ることができるほどに広大なグレート・バリア・リーフは地球上でも壮観な風景の一つであるという点。
登録基準(viii)
グレート・バリア・リーフは、海に沈んでいた丘が侵食されサンゴが形成されると、海面上昇によりサンゴが成長して広大なサンゴ礁が作られていくということを繰り返し、やがて世界最大のサンゴ礁群となった形跡が分かるということ。
登録基準(ix)
グレート・バリア・リーフには4000種以上の軟体動物、1500種以上の魚類が住み、何千年にもわたってこの地で生物が進化してきたということを示しているという点。
登録基準(x)
浅い海域には、絶滅の危機に瀕しているジュゴンやウミガメの世界最大の生息域であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
グレート・バリア・リーフは、世界最大のサンゴ礁群であり、これは氷河期を何度も繰り返して形成されたという長い歴史を誇るということで評価。そして、絶滅危惧種のジュゴンやウミガメだけでなく、魚類や軟体動物などの数も多く、多様な生物が見られるというのもポイントです。
ちなみに、近年のグレート・バリア・リーフは地球温暖化による海洋熱波のため、海水温が上昇し、サンゴが白化するという現象が発生し、2017年の調査によると、サンゴ礁の規模と種類は20年前に比べて50%以下という結果になりました。これもあり、今後は世界遺産委員会では「危機遺産(危機にさらされている世界遺産)」の登録を検討している段階であり、世界最大のサンゴ礁群は危機的な状態にあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。