登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(8),(9),(10) |
登録年 | 2000年 |
グルン・ムル国立公園は、ボルネオ島の北部に位置するムル山を中心としたカルスト地帯を保護する公園。約3500種の維管束植物や100種のヤシなど、動植物の種類が豊富で、山中には洞窟が多く、その中でもサラワク・チャンバー(洞窟)は世界最大の地下洞窟空間とされています。
ここではグヌン・ムル国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グヌン・ムル国立公園について詳しくなること間違いなし!
グヌン・ムル国立公園とは?世界最大の広さを誇る洞窟がある?
ボルネオ島のマレーシア領内にあるサラワク州にある国立公園。グルン・ムルは「ムル山」という意味で、ここは標高2376mの山の裾野にカルスト地形が広がっています。山には多く洞窟が点在していて、総延長295kmにもなり、これらは6500万年以上前からの地形の変化が分かる場所。
公園内は地上でも地下でもさまざまな種類の動植物が見られるのが特徴で、約3500種の維管束植物や100種のヤシなどで有名で、特にここはヤシの種類が世界でも最も豊富な場所の一つ。洞窟内にいるアナツバメやコウモリなどもこの地ならでは。
ここには世界最大の地下洞窟であるサラワク・チャンバー(洞窟)があることでも知られます。ここは1981年に発見され、測量の結果、奥行きが600m、幅415m、高さ80mもあり、それまで世界最大だとされていたアメリカのカールズバッド洞窟よりも広いということが判明しました。
グヌン・ムル国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
グヌン・ムル国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
グヌン・ムル国立公園は、世界最大の地下洞窟であるサラワク・チャンバーがあり、他にもさまさまな洞窟が見られ、原生林、カルスト地形、滝など、並外れた自然の美しさを誇るという点。
登録基準(viii)
グヌン・ムル国立公園には、暁新世(6600〜5600万年前)〜始新世(5600〜3390万年前)、始新世〜中新生(2300万年〜500万年前)、鮮新世約(500〜258万年前)〜更新世(258〜1万年前)の3つの地層が存在し、かつて土地が隆起したことで地下洞窟が生まれ、このことからボルネオ島の地形と気候が分かるということ。
登録基準(ix)
グヌン・ムル国立公園は、さまざまな自然環境があり、植物、苔類、菌類、無脊髄動物、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類の種類が豊富で、特に洞窟では200種以上もの洞窟動物が見られ、それらからは各動物の生態や進化の過程が見られるという点。
登録基準(x)
グヌン・ムル国立公園は、世界でも最もヤシの種類が見られる場所の一つで、洞窟内では300万頭ものオオコウモリが見られ、世界最大のコロニーの一つでもあります。ここに生息する動物の多くは固有種であり、41種もの絶滅危惧種が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
公園内に広がる地下洞窟は、6500万年前からの地形が見られ、275kmもの長さを誇る洞窟には多くの動物が生息し、それらの進化も見られるという点で評価されています。そして、世界でも最もヤシの種類が見られ、特に公園に生息する動物は固有種や絶滅危惧種が多く見られるというのもポイント。
ちなみに、サラワク州には、かつてボルネオ島北部に存在したサラワク王国と呼ばれる欧米人による王国ががありました。1842年に英国の軍人であるジェームズ・ブルックがたまたま原住民を鎮圧したところ、スルタンから「藩王」の称号を与えられてしまい、そのまま王様になったという非常にレアなケース。しかし、太平洋戦争時にサラワク王国は日本軍によって支配され、戦後はイギリスの植民地に戻されてしまいました。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。