登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (5) |
登録年 | 2021年 |
イラン西部のザグロス山脈には、紀元前3000年頃からこの地域に住んでいたクルド系の農牧民・ハワラミ族が住んでいるフーラーマーン/ウラマナトがあります。ここは何千年にも渡って、段々状の傾斜地に家や農地など、さまざまな施設が並ぶ独特の景観が残る地。
ここではフーラーマーン/ウラマナトの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、フーラーマーン/ウラマナトについて詳しくなること間違いなし!
フーラーマーン/ウラマナトの文化的景観とは?
フーラーマーン/ウラマナトは、イラン西部を南北に貫くザグロス山脈沿いにある、クルディスタン州とケルマーンシャー州をまたがるエリアを指します。ここは山岳地帯であるにもかかわらず、何千年にも渡って人々が住み続けました。周囲の遺跡や洞窟を調査すると、旧石器時代の4万年前から人が住んでいたということも分かっています。
現在はクルド系の農牧民・ハワラミ族が住んでいて、彼らはここで何千年にも渡って急勾配に水を管理しつつ段々畑を築き、村を築き上げ、農業と牧畜を営むという伝統的な暮らしを行ってきました。ここは、自然とともに調和しつつ生活を営んでいたことから独自の文化的景観が見られます。
フーラーマーン/ウラマナトの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
フーラーマーン/ウラマナトが評価されたのが、以下の点。
基準基準(iii)
フーラーマーン/ウラマナトの文化的伝統は現在も続いており、急勾配の段々状の地形に、村や庭園などが作られ、それを基盤として農業と遊牧を組み合わせて伝統的な暮らしが続いているという点。
基準基準(v)
フーラーマーン/ウラマナトは、標高が高く、荒れ果てたこの地で、農牧生活を続け、周囲の自然とともに持続可能な社会をこの地で築いてきた例であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
山岳地帯にあるフーラーマーン/ウラマナトは、人が暮らしづらい環境でもあったのですが、ハワラミ族が傾斜地を上手に利用して家々や農園が集まる村を築き、今でも伝統的な暮らしを続けているという点で評価されています。
ちなみに、コーカサス付近がザクロの原産地であり、イランでもザクロはよく食べられる果物ですが、別に語源は「ザグロス山脈」に由来しているわけではなく、単なる固有名詞なので要注意。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。