登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (9) |
登録年 | 2019年(2023年拡大) |
カスピ海の南岸には貴重な樹木類を保護する森林地帯や山塊が広がっています。これらの広葉樹林は、2500万年前から5000万年前に遡り、氷河期によって後退し、再び拡大したエリア。イラン側は国土の7%でしかないにもかかわらず、イラン国内の維管束植物の44%がここで生息。森には180種の鳥類と公園のシンボル的存在のペルシャヒョウを含む58種の哺乳類が見られます。
ここではヒルカニアの森林群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヒルカニアの森林群について詳しくなること間違いなし!
ヒルカニアの森林群とは?
世界遺産としては、イラン側はカスピ海の南岸に沿って延びる約850kmもの森林地帯が登録されていて、西はコーカサス地方、東はゴレスターン州半砂漠地帯まで3つの州にまたがり、15箇所のエリアで構成されています。これらの広葉樹林は、2500〜5000万年前に遡り、第四紀氷河期(約258万年前から始まった氷河期)に入ると、森林地帯は後退するものの、気候が温暖になると再び拡大しました。
このような経緯もあり、登録エリアはイランの国土の7%しかないにもかかわらず、国内の維管束植物の44%がここで生息。ここにはヒルカニア独自の生態系が見られ、固有種の植物や絶滅危惧種が暮らす森となっています。180種の鳥類と公園のシンボル的存在のペルシャヒョウを含む58種の哺乳類が暮らしています。
2023年には、アゼルバイジャン側のレンキャラン県とアスタラ県も拡大登録。
ヒルカニアの森林群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヒルカニアの森林群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ix)
ヒルカニアの森林群は、2500〜5000万年前に遡る広葉樹林が見られ、古代の広葉樹林は、第四紀の氷河期に後退し、温暖になると再び拡大し、植物の進化や種分化など、これらの森林の起源を示す重要な環境プロセスが見られます。ここは3200種以上の維管束植物が生息し、ここは絶滅危惧種を含む500種もの植物がイランの固有種というのが特徴。森には、絶滅危惧種のソウゲンワシやカタシロワシ、コキジバトなどを含む180種の鳥類、ペルシャヒョウを含む58種の哺乳類が生息しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ヒルカニアの森林群は、氷河期に古代の広葉樹林が後退したものの、カスピ海沿岸では今でも多く残っているという点で貴重なもの。ここには固有種や絶滅危惧種など、イランとアゼルバイジャンにおいて貴重な植物や動物が暮らす場所であるという点でも評価されています。
ちなみにペルシャヒョウというものの、現在のイラン以外、中央アジアやコーカサス地方でも割と暮らしています。実は似たような亜種も存在していて、数も少ない上にヒョウは動きが素早いため、発見された時はそれがペルシャヒョウなのか亜種なのかよく分からないこともあり、正しい生息数が分かっていないというのが現状。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。