オーストラリアの世界遺産「カカドゥ国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(1), (6), (7), (9), (10)
登録年1981年

オーストラリア大陸の北の果てにあるのが、カカドゥ国立公園。ここは4万年以上にわたって人が住み続け、岩壁画など、先史時代の狩猟を行っていた時代から現在に至るまでアボリジニの記憶が残る場所とされています。他にもマングローブの森や氾濫原、サバンナなどの景観や固有の動植物の生息地など、自然遺産としての価値もあり、公園は複合遺産として評価。

ここでは、カカドゥ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カカドゥ国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

カカドゥ国立公園とは?

カカドゥ国立公園
画像素材:shutterstock

オーストラリア北部の準州、ノーザンテリトリーにあるカカドゥ国立公園。ここはオーストラリアで最大の国立公園。この地では、4万年以上前から人が住んでおり、数千年前に描かれた岩壁画などが有名です。これらは氷河期以前に描かれたものであり、更新世(258万年前〜1万年前)から完新世(1万年前〜現在)への移行時期にかけて、当時行われていた狩猟や社会構造、宗教儀式などが分かる貴重な資料。

カカドゥ国立公園は、サバンナ、氾濫原、マングローブの森など、多様な景観を眺めることができます。特に雨季ごとに海面の変化と大洪水によって形成された氾濫原は、気候変動による影響が見られるというのも評価のポイント。そして、園内は多様な植物が見られるのも特徴です。

現在でもこの地にはアボリジニが住んでいて、伝統的な暮らしを続けています。「ウルル=カタ・ジュタ公園」と同じように、この土地もアボリジニのものであると認められ、立場上はオーストラリア政府が所有権を借りて公園を運営しているという形になっています。

岩壁画

岩壁画/カカドゥ国立公園
画像素材:shutterstock

なんといっても有名なのは、先住民が描いた「岩壁画」。3000以上も発見されており、それぞれ時代によってモチーフとされる動物やテーマは異なっています。これはX線画法という独特の技法で描かれており、レントゲンのように見えるのが特徴。特に東部のウビルには2万年前〜20世紀までのさまざまな岩壁画が残っています。他にもノーランジー・ロックのものが有名。

動物

イリエワニ/カカドゥ国立公園
画像素材:shutterstock

公園は1万9804平方kmの広さを誇り、さまざまな自然環境があります。植物は1600種類以上も生息。動物は「人喰いワニ」として有名なイリエワニを含む123種類の爬虫類、ワラビーなど60種類の哺乳類が見られます。オーストラリアで見られる鳥類の3分の1以上がここで見られるため、極上のバードウオッチングができる場所としても有名。

カカドゥ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

岩壁画/カカドゥ国立公園
画像素材:shutterstock

カカドゥ国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
カカドゥの岩壁画では、人間や動物などを非常にユニークな表現で描いているということ。

登録基準(vi)
岩壁画と遺跡からは、先史時代から現在までアボリジニの狩猟の伝統が生き続けているということを証明しているという点。

登録基準(vii)
カカドゥ国立公園は、ラムサール条約にも登録された湿地と壮大な絶壁などが見られるということ。

登録基準(ix)
園内の自然相と動物相は人間の影響を受けておらず、独自の進化を遂げているという点。

登録基準(x)
園内にはオーストラリアに生息している鳥類の3分の1以上、哺乳類の4分の1などが見られ、非常に多くの動植物を保護しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

どちらかというと自然遺産として評価されているポイントが多いですが、なんとっても岩壁画は人類の歴史上でも芸術的価値は高いもの。そして、現在まで続くアボリジニの伝統がこの地で生き続け、さまざまな自然環境やオーストラリアで住む動物の多くが見られるというのもポイントです。

ちなみに、サムネイルのX線画法で描かれた岩絵はカエルに見えますが、実はカンガルーとのことで、当時から絵のテーマにしていたくらい個性的な動物と認識されていたんでしょうね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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