登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3) |
登録年 | 1986年 |
インド中央部に位置するカジュラーホには、10〜11世紀のチャンデーラ朝時代に多くの寺院が築かれました。現在は25もの寺院が残り、それらはヒンドゥー教やジャイナ教の寺院。特にカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の彫刻は中世インド美術においても最高傑作の一つ。
ここではカジュラーホの建造物群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カジュラーホについて詳しくなること間違いなし!
カジュラーホの建造物群とは?ミトゥナ像はどんなもの?
カジュラーホは首都デリーから南東へ約630kmの距離にあるマディヤ・プラデーシュ州の都市。ここには10〜11世紀のチャンデーラ朝時代に建造されたヒンドゥー教やジャイナ教の寺院が今でも25件ほど残っています。チャンデーラ朝は10〜13世紀に繁栄したインド中部のブンデールカンド地方の王朝で、クシャトリヤという王族や武人の階級であったラージプート族によって設立。
寺院はかつて85ほどあったとされていますが、現存しているのは25ほど。これらは西側が最も多く、すべてがヒンドゥー教寺院、東側はジャイナ教寺院、南側にもヒンドゥー教寺院が点在。このエリアのヒンドゥー教寺院は、砲弾型の尖塔(シカラ)を持つインド北部の中世様式の寺院となっていて、尖塔はヒマラヤ山脈にあるカイラス山を示すもの。寺院は、入口が最も狭く、奥にある聖堂へ向かって次第に天井が高くなっていくという構造になっています。
チャンデーラ朝は13世紀には北方のイスラム王朝によって滅ぼされましたが、寺院は破壊されず、19世紀に英国人に再発見された時も保存状態は良好でした。
カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院
西側の位置するヒンドゥー寺院の中でも最大の寺院で、11世紀にシヴァ神を祀るために建造されたもの。最も大きいシカラ(尖塔)は31mになり、小さな塔が84も加えられているという壮大な構造。壁には裸体の人物像が刻まれていて、特に「ミトゥナ」と呼ばれる男女交合像があることで有名。これは性愛の体位を示してはいますが、本来は豊穣祈願などを示すもの。
カジュラーホの建造物群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
カジュラーホが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
カジュラーホの寺院には、神々をモチーフにしたさまざまな装飾が施され、北インドにおいてもユニークな芸術作品であるという点。
登録基準(iii)
カジュラーホの寺院は、13世紀に北インドにイスラム王朝が設立される前に栄えたチャンデーラ朝の文化を現在に残すという点で評価。
世界遺産マニアの結論と感想
カジュラーホの寺院群は、その後インド中央部の王朝がイスラム化していく前の文化を現在に残すもので、中世インドの中でも独創的な傑作であるという点で評価。
ちなみに、あまりにもミトゥナで有名になり過ぎて卑猥なネタで取り上げられたりしますが、これは昼と夜が交わるということに重点を置いて表すためであって、別に官能的なものが作りたかったわけではないそうです。しかし、ここで刻まれた女性像は、化粧をしたり、髪を縛っていたりと、なんだか無駄にリアリティーがあって不思議…というのも魅力。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。