登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4) |
登録年 | 2019年 |
ポーランド南東部に位置するクシェミオンキ。ここでは新石器時代から青銅器時代(紀元前3900年頃〜紀元前1600年頃)まで、おもに斧などに使用された「縞状フリント(燧石・火打石)」の採掘と加工のために利用されていた4つの炭鉱遺跡が世界遺産に登録。地下採掘場には、作業場や4000もの縦穴と横穴が残り、ここは先史時代の失われた生活と作業の様子が見られ、当時の文化的伝統を示しています。
ここではクシェミオンキの先史時代の縞状燧石採掘地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クシェミオンキについて詳しくなること間違いなし!
クシェミオンキの先史時代の縞状燧石採掘地域とは?
ポーランド南東部のシフィェンティクシシュ山脈の北東部にあるクシェミオンキは、先史時代に縞状フリント(火打石)の採掘と加工がされてきた場所。ここは新石器時代から青銅器時代(紀元前3900年頃〜紀元前1600年頃)まで使用され、約500平方mもの大部屋もある縞状フリントの採掘エリアとしては世界最大のもの。地下にはさまざまな形状の縞状フリントが採掘され、これらはおもに斧として利用されていて、ここで加工された斧は現在のドイツ、チェコ、スロヴァキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニアまで広く拡散していたということも分かっています。
地下採掘場では、作業場や4000もの縦穴と横穴が残り、廃棄物や労働者の住居なども含めた、保存状態の良い先史時代の産業景観が見られます。ここは有史以前の人類の共同体における生活と仕事に関する遺跡で、失われた文明の跡が見られるのが特徴。
クシェミオンキの先史時代の縞状燧石採掘地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
クシェミオンキが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
クシェミオンキの先史時代の縞状燧石採掘地域は、新石器時代から青銅器時代まで、この地で定住していた共同体の生活と労働の跡が見られ、鉱山は新石器時代の社会の存在を証明し、周囲約650kmもの範囲で使用されていた縞状フリントの斧の分布にも関連しているということ。
登録基準(iv)
クシェミオンキの先史時代の縞状燧石採掘地域は、複雑な技術や社会システム、そして、天然資源の開発など人類の適応を証明する採掘にまつわる景観が広がっています。これらは先史時代に縞状フリントの採掘によって、当時既に人類による道具の生産があったことを示す証明であり、地下の遺産は先史時代の多様な採掘構造が残るという点。
世界遺産マニアの結論と感想
非常に分かりづらい遺産ではありますが、現在のクシェミオンキは先史時代から縞状フリントの産地として有名で、地下では多くの縦穴・横穴が残り、ここで斧を加工していました。クシェミオンキで作られた斧は広範囲で使用されていたことが分かっていて、先史時代には既に道具の生産が行われ、複雑な技術や社会組織が存在し、資源の開発が行われていたことを証明するという点で評価されています。
ちなみに、フリントは日本ではあまりイメージがないと思いますが、例えば、イギリス南部でモルタルと混ぜて使用されていて、手軽に利用できるために普及していました。ゴシック建築でも使用されていて、割と最近まで建築物の素材として使用されていたのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。