クロアチアの世界遺産「プリトヴィツェ湖群国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7), (8), (9)
登録年1979年

クロアチア中部にあり、ボスニア・ヘルツェゴビナの国境近くにあるのがプリトヴィツェ湖群国立公園。ここにはエメラルドのように美しく輝く16の湖と92の滝によって構成されています。公園はクマやオオカミ、珍しい鳥類など、動物の保護区としても有名。

ここでは、プリトヴィツェ湖群国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、プリトヴィツェ湖群国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

プリトヴィツェ湖群国立公園とは?

プリトヴィツェ湖群国立公園
画像素材:shutterstock

プリトヴィツェは、クロアチア中央部にあるディナリデス山脈の低地に位置するプリトヴィツェ台地にあります。192平方kmもの広大な面積を誇り、16の湖と92の滝で構成。ここはクロアチア最大の国立公園で、壮大なカルスト地形でもあります。

もともとは、炭酸カルシウムの濃いプリトヴィツェ川の水がこの峡谷を通ることで、炭酸カルシウムが堆積して石灰華になりました。そして、いくつもの美しい湖が形成されたのです。

プリトヴィツェ湖群国立公園
画像素材:shutterstock

プリトヴィッツェは上湖と下湖で景観が大きく変化。上湖は森林の中にあり、ドロマイト(白雲岩)の上に形成されていて、段々畑のように滝で繋がっています。そして、峡谷にある下湖は低い草木が生い茂る石灰岩の岩盤の上に水が流れるようになっていて、滝は広くて浅いというのが特徴。

周囲はブナとモミの原生林のエリアも含まれていて、多様な生態系が見られるという点も評価。そして、敷地内にはヒグマや、オオカミ、オオヤマネコなど、希少な動物が見られます。

危機遺産

プリトヴィツェ湖群国立公園
画像素材:shutterstock

この地は、16世紀からオスマン帝国の支配下にあったため、その後、オーストリアはこの地を奪還した後も、ここを軍政国境地帯としてクロアチア人やセルビア人を住まわせました。その後、近代になると人気観光地になったものの、1991年のクロアチア紛争の際にクロアチア軍とセルビア軍がこの地で衝突。1992年には危機遺産リストに登録されてしまいました。

結局クロアチアによってこの地は奪還されたものの、周囲には地雷が埋められ、危険なエリアに。そんな状況を打開しようと1992年から地雷の撤去作業が進み、ユネスコは1997年には危機遺産リストからの除去を決定しました。

プリトヴィツェ湖群国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

プリトヴィツェ湖群国立公園
画像素材:shutterstock

プリトヴィツェ湖群国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
プリトヴィッツェは、森林と牧草地に囲まれたカルスト地形で、炭酸カルシウムの堆積によって湖が無数に並ぶようになり、エメラルドグリーンの美しい湖や滝が折りなす絶景が作られたという点。

登録基準(viii)
炭酸カルシウムの堆積によって独特の地形が形成され、その進行が今でも見られるという点で大変貴重であるということ。

登録基準(ix)
プリトヴィッツェは、炭酸カルシウムが川の水に沈殿することよって、特殊な苔類や藻類、バクテリアが沈降・促進していき、石灰華による自然のダムが形成されたという点。

世界遺産マニアの結論と感想

プリトヴィッツェでは、川の水に含まれた炭酸カルシウムが堆積することで、苔類や藻類、バクテリアなどが組み合わさると、エメラルドグリーンの湖と滝が織りなす、美しい景観が生み出されるという点で評価されています。

ちなみに、湖には魚も泳いでいて、もともとはマスが多く生息していたのですが、今は外来種であるチャブというコイの仲間が圧倒的多数。しかも、世界遺産エリアだけになかなか駆逐できないとか…。そして、レストランで出てくる「マス」料理はもちろん、プリトヴィッツェで育ったものではなく、養殖のものです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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