ギリシャの世界遺産候補「ミノア文明の宮殿群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(1), (2), (3), (4), (5), (6)
申請年(暫定リストに記載)2014年

ミノア文明とは紀元前2000年〜紀元前1400年頃に、ギリシャ南部のクレタ島で繁栄した青銅器文明のこと。当時使用されていた文字が解明されていないため分からないことが多いものの、ここはエジプトなど東地中海の文明と関係が深く、各地の宮殿の遺構には、当時の高度な技術が見られ、宮殿にまつわる神話は現在でも世界の芸術や文学に影響を与えています。

ここではミノア文明の宮殿群がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ミノア文明の宮殿群について詳しくなること間違なし!

目次

ミノア文明の宮殿群とは?

クノッソス宮殿
画像素材:shutterstock

クレタ島は東地中海に浮かぶ、8336平方kmもの広大な島で、ギリシャには数々の島がありますが、その中でも最大の島です。島はヨーロッパの中でも最初期の文明の一つであるミノア文明が栄えた地。ミノアとは神話によるとゼウスの子であり、彼は島の王となり、島の中央部にあるクノッソス宮殿を築いたとされたために、この名前が由来となっています。

しかし、これはあくまでも神話であり、当時の遺跡から発見された線文字Aは現在も解読されていないため、詳しいことは分らないものの、島にはクノッソス、ファイストス、マリア、ガラタス、ザクロスという壮麗な宮殿が築かれ、ほとんどの宮殿で共通の特徴があります。敷地には大きな中央広場が置かれ、周囲には建物が築かれていて、他には宝物庫や聖域、倉庫、台所、工房、劇場などもあり、ここは王だけでなく、聖職者、職人、商人など、多くの職種の人々が暮らし、周辺ではイベントも開催可能といった機能がありました。それもあり、宮殿は経済とともに文化が発展する場であったのです。

クノッソス宮殿

クノッソス宮殿
画像素材:shutterstock

島のほぼ中心にある宮殿の遺構。この地に宮殿が築かれたのが紀元前1900年頃とされていて、中央には広場があり、周囲には建造物が建っていたものの、紀元前1700年頃に地震によって崩壊しました。その後、再建された後は、劇場や倉庫、ホールなど、広大な宮殿へと変貌し、後に牛頭人身の怪物であるミノタウロスが暮らしていたとされる、両頭斧(ラブリュス)の間である壮大なラビリンス(迷宮)のイメージへと繋がりました。

しかし、その後、ギリシャ半島で繁栄したミケーネ文明の支配下を受け、紀元前14世紀に災害が起こると宮殿は放棄され、遺構となりました。

ミノア文明の宮殿群はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

クノッソス宮殿
画像素材:shutterstock

ミノア文明の宮殿群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
登録基準(ii)
登録基準(iii)
登録基準(iv)
登録基準(v)
登録基準(vi)

ミノア文明の宮殿は、東地中海でも青銅器時代に繁栄した海洋文明であったミノア文明の存在を示し、宮殿は建造物の美しさだけでなく、排水の構造、芸術、文字など、複雑な初期社会が見られ、エジプトやシリア、パレスチナ地方などと交流していました。さらに、宮殿は牛頭人身の怪物ミノタウロスやラビリンス(迷宮)、イカロスなど、古代世界の神話や芸術に影響を与え、今でも世界の文学や芸術などに影響を与えているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

クレタ島に残るミノア文明の宮殿は、現在は遺構であり、文字は解明されていないものの、その技術や芸術などから優れた文明であったことが分かり、他国と交流が見られ、さらにギリシャ神話でも有名なエピソードの源泉であるという点で評価されています。

ちなみに、世界史の授業でもおなじみの線文字Aは解読できていませんが、同じ場所で見つかった線文字Bは解読できています。これは学者たちが無能だったということではなく、線文字Aが築かれた粘土板の品質が悪く、数も少ないためにまだ法則を見つけられていないというだけ。線文字Bは3000枚の粘土板があったので、サンプルが多かったのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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