ヨーロッパの世界遺産「アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(4), (5)
登録年2011年

アルプス山脈の周辺には、紀元前5000〜500年に湖や河川、湿地帯に杭上住居(高床式住居)が築かれ、集落ごと水没したとされる111箇所の集落遺跡が、スイス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、スロヴェニアの6ヶ国に点在。これらは新石器時代から青銅器時代の人々の生活が見られる遺跡となっています。

ここではアルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、杭上住居群について詳しくなること間違いなし!

目次

アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群とは?

プファールバウ博物館/アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
画像素材:shutterstock

ヨーロッパのアルプス山脈周辺の6ヶ国には、紀元前5000〜紀元前500年の先史時代に湖や河川、湿地帯に築かれた杭上住居跡が111箇所も残り、これらは水没していたために保存状態が非常に良好。遺跡からは4500年以上に渡って彼らが農業や畜産、冶金(やきん)技術を持ちながら生活を続けたという、ヨーロッパ初期の農耕社会の構造が見られます。

集落跡は、スイス(56件)、イタリア(19件)、ドイツ(18件)、フランス(11件)、オーストリア(5件)、スロヴェニア(2件)の6ヶ国の湖や河川、湿地帯跡に点在し、ここからはフリント(火打ち石)、貝殻、金、琥珀、陶器などが発掘され、紀元前3400年頃に使用されていた車輪も発見。これにより彼らは早い段階で車輪による輸送を行っていたということが分かります。さらに、紀元前3000年にも遡る古い織物も発見され、これはヨーロッパで最古の織物とされるもの。

アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

プファールバウ博物館/アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
画像素材:shutterstock

杭上住居群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
アルプス山脈周辺の杭上住居群は、紀元前5000年から紀元前500年にわたるヨーロッパ初期の農耕社会を示すもので、これらは浸水していたため保存状態もよく、各地域間の交流も見られ、ヨーロッパの新石器時代から青銅器時代における生活の変化を理解するという点で貢献しているという点。

登録基準(v)
アルプス山脈周辺の杭上住居群は、ほぼ4500年にわたってヨーロッパのアルプス山脈の湖畔や河川に存在した先史時代の農業社会の生活を示し、気候変動などに影響を受けつつ、自然環境と向き合い、技術を発展させながら人々が湖畔で暮らし続けたという証拠であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

アルプス周辺の6ヶ国にまたがる杭上住居群は、湖や川に浸水していたために保存状態が良く、4500年にわたる先史時代のこの地での暮らしがよく分かり、これらの住居からは自然環境と向き合いながら技術を発展させていった証拠が残るという点で評価されています。

ちなみに世界で最も古い車輪は古代メソポタミアのシュメール人によって作られたとされ、それらは紀元前3500年ころだったとされています。…となると、ここで発見したものはかなり古いのですが、実はヨーロッパや中東では既に紀元前4000年頃には車輪は広まっていたという説も唱える人もいて、意外にもルーツが謎の技術であります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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